※コースタイム:塩水橋(7:00)~丹沢山(9:15)~(休憩舎・10分休憩)~蛭ヶ岳(10:35)~(休憩舎・15分休憩)~丹沢山(11:55)~塩水橋(13:40)
朝4時半。登山の為に起床し、外を覗くと予想以上の大雨が迎えてくれた。それでも、昨日見た”雲のち雨”という天気予報に午前中は大したことないだろうという期待をし、登山準備を始めるが一向に収まる気配がない。一通り準備を終わらせた後も、雨は容赦なく降り続け、さすがにまたテント内に戻って雨が静まるのをまった。もう、今日はやめようかとも何度も思ったが、しかし、やめたところでも明日も雨予報。それならもう後回しにすることなく、今日行ってしまおうと、一時は横になって寝てしまっていたが、また飛び起きて6時40分、意を決して雨の中を登山口へと向けて自転車を漕ぎ始めた。
今日がこの日本一周での旅の中のでの最後の登山。これで人力100名山登頂を全て終わるわけではないが、しかし、自分の決めた旅の当初の予定を守るべく、これで一時終了させて来月帰宅するつもりだ。そんな旅の最後を飾るこの80名山目の登山であるのだが、しかし、空からは相変わらず容赦ない雨が降り続き、そんな中、最後の試練だと思い第一歩を踏み出していった。
登山道には川のように水は流れ、どこも泥沼状態。もちろん展望は全くなく、また、その展望を眺めようにも、ひと度、顔を上げようならビッショリになってしまう始末で、ただ下だけを見つめ黙々とひとり登っていくしかない。登山の楽しみは何一つとしてないが、しかし、これは自分の意地の問題であり、この旅で決めたことなのである。しかし、かといって危険なほどの無理はしたくなかった。この大雨の中の登山であったが、しかし、自分は危険度は少ないと判断した。晴天の登山と比べればそれは危険度がかなり上がるが、厳冬期の天気の崩れに比べれば大したことはない。さらには台風というわけでもなく、風は穏やかであったのも登山へと踏み切った理由であるが、しかし、楽しむということに関してはこの登山に関して全くない。期待もできない。それだけに精神的にきついきつい山行であった。もちろん道中で誰一人として会わない。ただ、辛いだけの道程が延々と続いていった。
丹沢と言えばブナ林であろうか。しばらく前なら素晴らしい一面の紅葉を見せてくれていただろうが、今はすっかり葉も落ち、また、悪天の中だけに薄暗く、死んだ山のように見えるほどであった。しかし、そんな中でも私を励ますように出てきたのが鹿であった。林道でも会い、この登山道でも何度か顔をだしてくれた。すぐに逃げるわけでもなく、見つめるその鹿の目は、「がんばって!」、そう励ましてくれている様に私には感じ、一歩一歩確実に標高を稼いでいった。そしてようやく丹沢山登頂だ!しかし、ここで終わりではない。この丹沢山の100名山はいったいどこを指すのか規定がないために、ここと、最高峰である隣の山、蛭ヶ岳も登らなければならなかった。この頂へと出てからは横殴りの雨へと変わり、また雨もさらに増してきた。もう丹沢山に登ったではないか?そう思い帰ろうとも何度も考え足を鈍らせたが、しかし、ちゃんと最高峰も登っておきたく、この後、まだまだ黙々と足を伸ばしていった。土砂降りは相変わらず変わらない。いやさらに風も加わり、まっすぐ向いて歩けない状態であった。そんな中、蛭ヶ岳へと登頂。写真1枚を撮り、間を置くことなくすぐにまた下山へと歩みだす。こんな登山して何が楽しいと自分で笑いながらも、これがこの旅の自分に課した仕事なのである、と自分に言い聞かせ、下山も一気に駆け下りていった。もちろん終始展望はない。伺えるのはブナ林の寂しい幹と、そして鹿に食い散らかされた熊笹であった。この丹沢では鹿問題がかなり深刻化しているらしい。熊笹が全滅しているところも多々あり、また木の皮をも食べつくし木を枯らすために、どの木にもシートが巻かれ保護してある。さらには、鹿の立入を防ぐために、至る所に柵が設けられもし、人間が鹿の生活圏を追いやった結果が、こんなところに現れていることをシミジミと感じながらの下山であり、そして最後、自転車を走らせて元のキャンプ場へと14時、無事に逃げ帰ってきた。そんな言葉がまさにふさわしい。
この後がまた大変であった。全てがビッショリである。ザックの荷物も半水没しビッショリ、そして私自身もビッショリであり、靴もビッショリだ。まだまだ新しいはずの登山靴なのだが、どうも湿ってくるところがあり、今日の一日の山行で、水が溜まるほどビッショリになってしまった。これは老朽化というよりも靴の防水性が元々あまりよくないらしい。買ったときからどうも違和感を感じていた。高かったのに・・・ と悔やみながら、荷物を広げて乾かそうとするが、しかし、いくら軒下といえどもこの大雨ではとても乾かず、逆に雨は降り込み余計に濡れてしまうほどであったが、しかし、もうこれ以上に濡れ様がない。明日、乾くことを祈りながら、テント内でようやく落ち着き、変わらぬ土砂降りの雨を眺めていた。そんな時に管理人の山本さんが来た。また、世間話を楽しむと共に、今日の登山の苦痛をついつい爆発させてしまう。もう、誰かに話さなければこの辛さを克服できない。そんな辛い辛い最後の登山であり、その夜は、疲れと変わらぬ大雨で、何もやる気が起こらず、溜まった日記をほとんど書けずまま21時頃眠りについた。
★今日のお食事♪
・朝食 : ミニ弁当
・昼食 : パン×2
・夕食 :
ごはん・レトルトラーメン