※コースタイム:山ノ鼻(6:00)~至仏山山頂(7:40)~(20分休憩)~鳩待峠(9:30)~山ノ鼻(10:00)~(15分休憩)~龍宮小屋(11:00)~(30分休憩)~御池下山(14:15)
空腹に堪りかねて何度も目を覚ましては、また眠りにつく。それを何度も繰り返しようやく朝を迎えた。とは言ってもまだ4時。日の出は6時ごろのこの時期だけに外はまだ真っ暗であるが、今日の過密予定の為に出発準備に取り掛かる。しかし、バーナーがない為にいつものようにご飯を炊けるわけではなく、またお湯を沸かせるわけでもなく、ただ朝食は非常用にと持ってきたアルファ米(水またはお湯を入れるだけでご飯ができる)に水を注ぐだけで今日の調理はお終い。いつもならどんなに急いでも1時間以上掛かってしまう調理だけに、あまりに簡単すぎるこのアルファ米に対して改めて驚き、また登山者が皆使うわけであるとも思いながらも高価な為に使えない自分が悔しくも感じながら、出来上がったアルファ米を頂いた。お湯ではなく水で作っただけに味は全く期待していなかったのだが、予想に反したその上手さに驚き、ペロリと平らげたいところであるが、今回ばかりは一口一口しっかりと味わいながら噛み締め少ない朝食を済ませた。
朝の尾瀬ヶ原 辺りが明るくなり始めた6時。今朝も日も差すことない深い霧で覆われた中を今日もカッパに身を包み歩き始めた。目指すは連続登山4つ目となる至仏岳。ここの直登コースもなかなかの急登と聞いていただけに意気込んで掛かるのだが、しかし、ここは意外に楽勝♪思ったよりも傾斜はきつくなく、また泥濘も少なく、いつもの悩みはないのだが、ただその滑りやすい岩質には閉口。氷の上をまるで歩いているかの様に滑るその岩に頭を抱えながらも、しかし、この今回の山に限り、荷物を最小限にした空荷ということもあって、それでもグングンと標高を稼いでいった。ちなみに荷物はキャンプ場へと置いてきてのサブバックでのこの至仏山登山であり、こうして苦しめられながらも、これが登山であり、これがこの山の特徴なのだからと思い、逆に楽しんでいる感もあったのだが、しかし、このいつもでも霧に包まれた天気だけは、ただ晴れることを祈るばかりであった。
そんな願いが通じたのか、あれほど深い霧に覆われていたにも関わらずパーっと辺りは瞬く間に明るくなると同時に青空が顔を出し、そして日の光が眩しいほどに注ぎ始めた。開ける展望に思わず言葉を失い、光輝くその日差しはもう何日も見ていないかの様な懐かしさであり、また今までのジメジメした闇の世界から夜が明けた、そんな清々しさにしばらく呆然と魅入り、その日差しを楽しむと共に足取りは軽くなったのだが、しかし、その感動も一瞬であった。また辺りは霧に覆われだし視界はなくなった。
至仏山山頂 また黙々と足を運んでいく。幾つかの鎖場もあるのだが、しかし、岩は削られ整備されているだけになくても良いほどで苦もなく乗り越えていくと、山頂はもうすぐそこである。今回も燧ヶ岳に続き肌を刺すような強風吹き荒れ、またガスが視界を覆い隠す何の楽しみもない悔しい山頂の地をただひとり空しく踏み、のんびり楽しむところもなく記念写真後すぐに下山へと歩みだした。ちなみに帰路は同じ道ではつまらないと思い、また至仏山には2つの登りコースがあるのだが、その2つを歩いてこその至仏山であると勝手に思い込んでいることろがあり、時間に余裕もないのにやや遠回りになるが鳩待峠へと下山することにした。ちなみにこちらはかなり歩きやすく、緩やかな斜面がひたすら続き、トントン拍子であっという間の鳩待峠。途中、こちらに限っては多くの登山者とすれ違い、今までの孤独感が嘘のようで、あいさつはもちろんのこと、ちょっとした会話も交わしたりと楽しく下山して行き、そして鳩待峠からは、木道をのんびり歩いて元の登山口である山ノ鼻へと帰路についた。
尾瀬ヶ原をひたすら歩く ここからが大変。また重いザックへと背負い直し、昨日来た道である尾瀬ヶ原をまた縦断することになる。当初の予定では北側の縦走路をとって帰路に付こうと思っていたのだが、しかし、途中流れる川の橋がそちら側はシーズンオフの為にすべて外されてしまっていた。ちなみに今歩いているど真ん中を突っ切る縦走路も11月4日には幾つかある橋全てが取り外され通行不可となることを、ここに来てから知り、一歩間違えばこのコースでの至仏山登頂を果たせなかったことに驚き、そして自分の幸運に感謝しながら、ひたすら先見えない延々と続く尾瀬ヶ原を歩んでいった。ちなみにほぼ中間地点にある龍宮小屋にて休憩した。ここは数少ない未だに営業している小屋で、どうやら木道工事員の為に開いているようで、この悪天のせいか、山小屋内は、そんな作業員で溢れて時間潰しに団欒していた。そして私がお邪魔した目的は食糧。さすがに運動量が多いだけに朝の僅かな食事、そして行動食だけでは足らずにここでカップラーメンを購入した。値段は350円とさすが山小屋料金であるが、しかし、空腹には変えられず、ここで休憩も兼ねてお腹を満たした。そしてまた、長い長い木道へと歩んでいった。
段吉新道、燧裏林道と歩き自転車を置く御池峠へと戻った。途中に寄り道すれば名瀑が2つもあるのだが、しかし、その寄り道する元気はすでになく、また、その展望台も雪害防止の為に一部撤去されているという話であった。また、この燧裏林道もその例外でなく、途中につり橋があるのだが、もうすでに冬季に備えてつり橋の手すりは全て外され、ドキドキしながらの帰路であり、もうすでに山が終わっていることをしみじみと感じながら、最後は登り返すようにして歩んで行き、誰も居ない静かな峠の駐車場へと無事に1泊2日の登山を終え戻ってきたのだった。
鷹ノ巣にて
(平ヶ岳登山口) 午後から降り始めた雨、そして深い霧、風、峠の標高は約1500m。そこから標高約800mまで一気に下っていく、そしてそこが次に目指す山、連続登山5つ目となる平ヶ岳のそこが登山口なのである。下った先が登山口など今までになく、また、明日登山の為にその標高以上へと登り、さらにはこの峠へとまた舞い戻り、越えて荷物を預けた桧枝岐村へと戻る。これほど悔しく悲痛なルートないのだが、しかし、平ヶ岳を登るにはこうするしかない。とくにやり切れないのが、この標高約1500mの御池峠を2度も越えなければならないということで、これも今年の5月、冬季閉鎖と登山規制があったが為に生んだ悲痛のひとつであり、またその時にも三国峠を2度越えないければならなかった悲劇があった。今もこうして坂を下って行く事が、登り返えさなければならないと思うと辛くてたまらない。また、実際にも、その凍えるような寒さの為に、これでもかというほど着込んだにも関わらずガタガタと震えが止らないほどで、悲鳴をあげながら坂を下っていたところが、平ヶ岳登山口であり、その誰も居ない静かな駐車場にテントを張り身を落ち着かせた。そして今日こそは温かい飲み物、そしてご飯で暖を取りながら夜の時間を過ごし、21時ごろ就寝した。ちなみの今も雨は降ったり止んだりを続けている・・・
★今日のお食事♪
・朝食 : アルファ米
・昼食 :
カロリーメイト・カップラーメン・エネルギードリンク・菓子
・夕食 :
ごはん・レトルトカレー・味噌汁