※コースタイム:鷹ノ巣(6:00)~台倉山(8:00)~平ヶ岳山頂(10:00)~(30分休憩)~台倉山(11:50)~鷹ノ巣下山(13:30)
天気は回復することなく朝も変わらず雨が降り続いていた。ただ気温はやや温かく心配していた雪になることはなかったが、それでも憂鬱な朝には変わりなく、登山へとで向ける足取りは重く、朝4時の起床であったが、準備はなかなか捗らず、空を見上げながらの出発準備であった。静かな登山口であり、また誰も居ないこともあってビッショリに濡れたテントは設営したまま置いて6時小雨降る中、この尾瀬北側からの最後の登山であり、連続登山5つ目となる平ヶ岳へと向けて踏み出していった。
5分ほど林道を進めばすぐに尾根道へと変わり急登りが迎えてくれた。今日もカッパを着込んでいるだけに蒸し暑く、辛い山行であったが、しかし、この一番きつい約2時間の下台倉山までのルートが一番楽しいところでもあった。気温はもちろん一桁、5℃以下ではないだろうかという中でであるが、汗水流しながらの急登で、その険しさ、さらに細いヤセ尾根通過時の緊張感、それが楽しく、その疲れも忘れて一気に登りきり、その先は小さなアップダウンを続けるやや地味な道へと変わっていった。そこは忍耐である。また泥沼もあり足を没せながらも、服を汚しながらも一歩一歩ただただ黙々と歩んで行く。今回も3山連続、ガスに包まれ視界はなく、ただ歩き進む意外にない。うっそうとした木々に囲まれ、さらにはハッキリしないアップダウンの続く登りに耐えること2時間近く、最後はグッと標高を稼ぐとそこはもう山頂直下である池ノ岳である。
ここまで来ると凍るような風が吹き荒れ始め、また寒気も激しい。それを物語るかのように霧氷が迎えてくれた。ただ雪はない。数日前、会津駒ケ岳から覗いたこの平ヶ岳だが、その時は豊富な新雪に驚かさせられたのだが、しかしこの連日の雨ですかっりその姿はなくなり、そして変わりに現れたのが、光り輝く霧氷であり、草紅葉を真っ白に染めさせていた。昼間の温かさのせいか、その霧氷も氷のようになっているのも多々あったが、それもまた美しく、まさに氷の芸術であり、そんな氷で覆われた樹木も力強く生きているのだから不思議である。それら不思議な世界に魅せられながら、アップダウンを繰り返していくと、どこが山頂かと分からぬほどの平らな湿原が広がるところ、そこが山頂であった。
強風吹き荒れる極寒の地で、いつもの登頂なら記念撮影と共に逃げるように下山へと向うところなのだが、しかし、今回ばかりは寒さを忘れてその氷の世界に魅せられ、時には樹木や草木を振り払う様にして霧氷を落として遊んだり、また、もちろん静かに写真撮影を楽しんだりもした。また一部、山頂の湿原に並べられた木道も見事なまでに凍りつき、足を滑らせながら遊び、また時には遊ばされ、山頂の時間を楽しんだ。しかし、最後には寒さに耐え切れず下山へと歩み始めることになった。
帰路も同じルートを戻っていく。また果てしなく続く地味なアップダウンを黙々と越え、そして最後は細く痩せた急な尾根道を慎重に下っていく。ここはまたどうやって上手く下っていくかという自分との挑戦であり面白く、また、それにさらに拍車を掛けたのが天気の回復であった。徐々に晴れ間が広がりだし、終いには見事なまでの展望が開け、山頂で見れなかった悔しさもあるが、しかし、こうして僅かでも望むことが出来ただけでも嬉しく、くっきり姿を現した燧ヶ岳を眺めながら軽快に歩んでいった。そして、13時半、予想よりも早く無事に下山し、沢で泥沼によごれたスパッツやカッパを、さらには靴を洗ったり、また、すっかりこの晴天で乾いたテントを撤収したりと慌ただしく登山の片付けを終えて、また新たに疲れた身体を奮い立たせて、この尾瀬北側登山の最後の難関である御池峠へと向けて自転車を漕ぎ始めたのだった。 標高差約700m。昨日、降りてきたばかりだというのにまた登るとは・・・ 自分でバカらしく思いながらも自分で決めたことと必死で坂を漕ぎあがっていった。最初の出発の桧枝岐からの御池峠アタック同様に約2時間の格闘に、連日の登山の後だけに精神的には頑張ってこれても肉体的には限界に近いらしく身体がついてこない。足はガクガクと振るえ、また身体までもが体力消耗の為か、それとも寒さのためか、登っているにも関わらず震えだし、それでも黙々と漕ぎあがり無事に峠へと到着はしたが、さすがにここで一気に下っていく元気はなく、この峠休憩所でしばらく暖をとり、また軽くお菓子を購入してお腹も同時に満たした。そして意を決して、これでもかというほど厚着をして峠を駆け下りて行ったのだが、もう悲鳴を上げたくなる寒さで身体は硬直・・・ しかしどうしようもなく、固まった身体のまま自然に任せて坂を下っていき、そしてまるでロボットのようにガチガチとなった身体で向った先は温泉。そこでようやく凍えた身体を温めてキャンプ場へと戻った。
荷物を預かって頂いた見通りキャンプ場の管理人さんが変わらぬ笑顔でまた迎えてくれた。そんな笑顔にホッとし心和ませてもくれたが、もうひとつ嬉しいことが、寒いだろうと心配してくれ、テントの下には大きな銀アットを敷いてくれ、さらには風が入ってこないようにとブルーシートで辺りを覆ってもくれた。もう感謝もしようもないほどの管理人・星さんの気持ちに心打たれながら、温かいテントの中でさすがに登山の疲労がドッとでたのか食事後、倒れるように就寝した。まだ20時を過ぎたばかりであった。
★今日のお食事♪
・朝食 : ごはん・レトルト丼・味噌汁
・昼食 :
パン×2・エネルギードリンク・菓子
・夕食 :
ごはん・マーボー豆腐・味噌汁・菓子