※コースタイム:登山口(8:50)~ガマ岩(10:40)~山頂着(12:10)~山頂発(13:20)~ガマ岩(14:30)~登山口(16:00)
昨夜と変わらぬ曇り空で朝日はない。でも今日の天気予報では”曇のち晴”そういう天気のはずであり登山であったが、しかし今朝、改めて予報を見て驚いた。”曇のち雨”・・・ どういうことだろうと目を疑い何度も確認してしまったほどだが、しかし、変わることなく雨マークが書かれていた。こんなはずでは・・・ と思いながらも、しかし出発しないわけにはいかず、5時半から出発準備に追われていた。とは言っても、今日は自炊時間を短縮する為に朝は店屋物で済ませた。そして荷物をまとめて7時前にはキャンプ場を出発。ちなみに一緒に登る高田さんは後からバイクで追いかけることになっている。
この斜里岳、登山口は2箇所あり、今日登るマイナー登山道”三井コース”と、そして清里側の”旧・新道コース”がある。一般的にはほとんど後者の登山道を使うのだが、自転車の便を考え、また、沢を避けて三井コースにしたのだが、こちら、あまりのマイナールートのせいか、その登山口まで行くのもなかなか大変で、ダートになってからもいくつか分かりにくい交差点を越えていく。場所によっては全く分からずにルートを探すところまであった。そんな道だから後から来ることになっていた高田さんも迷った。いや、迷うだろうと予想はしていたので、分かりにくい分岐で待っていたのだが、その前にすでに間違えたようで、なかなか落ち合うことが出来ない。終いには反対方向へとバイクを走らせてしまい、高田さん自体もう「今日、私は登るのは無理みたい・・・」と諦めはじめていたそうだが、しかし、携帯の電波が届いたことが幸いし、1時間ほど私自身も行ったり来たりしてしまったが無事に会うことができ、そして登山口へと到着した。
いよいよ登山開始だ。「私は遅いから、時間は倍掛かるよ・・・」と弱気な発言をしていた高田さんであるが、でも、実際はなかなかテンポ良く足を運んで行き、コースタイムよりもやや早いペースで標高を稼いでいった。そんあ道中、霧に包まれることもあったが、でもそんな中でも升目模様の農園広がる斜里平野を眼下に見下ろしたり、また広がりだす雲海を眺めたりと重い空に覆われている割にはそれなりに展望を楽しんむことがでいた。そんな道中、ゆっくりテンポの登山と言うこともあって”鹿の角”を探しながら私は歩いていた。鹿は毎年春に角を落とす。毎年生え変わるのだ。そんな角をマイナー登山道だけにあるのでは?と林道を含め今日はひたすら探し歩いていた。なぜ、急に鹿の角を?と思われるかもしれない。実際、今までそれほど興味を持たなかった。あってもあんな大きな物、何に使えるわけでもなく邪魔なだろう。そう思っていたのだが、しかし、北海道の各地の売店で鹿の角のアクセサリーに惹かれ、そしてその値段驚いた。小さい割には高いのだ!それならと思い、自分で作ってみたくなりそれがために角が欲しくなったのだ。なければどこかで角を買おうか・・・ そこまで今は思い入れがあり、また今回の登山そればかりが頭から離れず、ひたすら角を探しながら歩いていた。
登山の方は中盤を越えた辺りからグッと勾配がきつくなり始めロープ箇所も現れたりとするのだが、でも、それらを越えていった先には一気に視界開ける稜線へと出、そして見事なまでの展望が迎えてくれた。目指す山頂はもう目の前である。ただ、見るからに不安を仰ぐのがその山頂の風貌。垂直に立っているかのように見えるほど四方は急勾配に覆われ、そしてそこに登山道らしい道を見ることが出来るのだが、しかし、ここも真っ直ぐに山頂目指して登っていく直登路。全てが垂直の鎖ではないかと不安をつのらせる頂であったが、しかし、その不安の前に、まず目の前の登山道を越えていかなければならない。この稜線へと出てから左右は断崖絶壁へと変わり、そしてその僅かな間を抜けていく。さすがに私はもう何度もこうした稜線を歩いてきただけに、臆することはないが、しかし、彼女、高田さんがこの先歩いていけるか心配になる。引率しているだけに無理はしたくない。が、当の高田さんは「怖!」と悲鳴を上げながらも、意外に足は迷うことなく前に踏み出し、最大の難所、岩場も無事に横切り山頂へと一歩一歩進めていった。
そして最後はガレ場の滑りやすい急登を上がっていく。攀じ登ったという言葉がまさに妥当だろう。木々の枝、岩にしがみつきながら攀じ登るのだが、しかし足場の方はもろい為に落石が絶えず、さらには急なだけに一度落ちた岩は果てしなく転がりっていく。それがここでは一番怖く常に後者の頭上にどうしても落石が起こってしまうのだ。かといって中途半端な間隔くらいでは急登が長いだけに無意味で、もう、姿どころか声まで届かなくなるほど距離を開け、個々に最後は攀じ登り、そしてその先は待望の山頂であった。静かな登山道だけに静かな山頂、それが当たり前のような気にさせられるのだが、ここは意外にも大勢賑わう山頂であった。大勢どころか何十人も山頂で寛いでいた。中学生だろうか、団体メンバー1組、そして年配者の団体メンバーも一組、その2組だけでもう山頂は満員状態。あまりの数に呆然としてしまうほどで、今まで誰も会わなかっただけにそのギャップも激しかった。ちなみにこちら側の三井コースは登山口の登山記録では2、3日に1組ほどしか記入がない。それほどマイナーなルートなのだ。しかし道のほうは廃道というような感じはなく、しっかり整備が行き届いていた。ただ、道的にはやはり危険な稜線もあり、中級コースといったところで初心者には向かない道であった。
山頂での寛ぎの時。あれだけ賑やかな山頂も時と共に落ち着きだし、いつの間にか私たちの他には2,3人ほどの登山者しかいない静かな山頂へと変わっていた。この山頂からは360度、見事なまでに見下ろすことが出来、南には雲海、北には升目の農地、そして東には北方領土である国後島まで望め、重い空で覆われている割には大満足の好展望を楽しむことができた。
見飽きることのないこの好展望を見下ろしながら昼食、そして手には温かいコーヒー。今回はちょっと豪華にバーナーも持ち上げこうして山頂での時間をさらに華やかなものにした。そんな時間を1時間以上のんびり楽しみ、そしてまた同じ道へと下山に向った。「登ったはいいが、下れるだろうか・・・」あまりの急勾配にそんな不安をこぼす高田さんであったが、登り同様、なんだかんだ言いながらも、テンポ良くちゃんと下山へと歩んで行った。その後も同様に難所は幾つかあるのだが、無事に歩々を進めて行き、そして順調に16時に下山。ちなみにそんな道中、私は”鹿の角”が諦めきれず、廃道を進んでみたりと何度も道草をしながら下山して行ったのだが、残念ながらそんな簡単に見つかるものではなく、ちょっと肩を落としながらの下山であったが、しかし、無事に登山口に降り立った時にはお互いハイタッチを交わし、登山の喜びを分ち合った。
林道を自転車でちょっと悪戦苦闘しながらも駆け下り、そして舗装路に入ってからは気持ちよく一気に市街まで駆け下りて行った。その道中、振り返れば常に斜里岳が聳え、ついついその風貌に見惚れ、何度も振り返り見てしまう。彼女も同様にやはり何度もバイクを止め振り返る。あの厳しい山道であったらばこそ、こうしてさらに惹かれるものになったのかもしれない。「あそこを登ってきたんだ・・・」そんな達成感に浸りながらも、「鹿の角は・・・ 」と最後は悔しがりながら、キャンプ場へと自転車を走らせた。
買出しを済ませて戻ってからはやはり最初に温泉だ!蒸し暑かっただけに身体はもうベトベト、そんな汗を洗い流して、そして夕食は登頂を喜び合うようにちょっと豪華に品々を並べた。店屋物の産地のおかず類に、そしてホタテ入りの味噌汁を作り、さらには海鮮のツマミまで揃う。その豪華さにちょっと最初から飲みすぎ、いや疲れもあったのだろうか、すぐに頭はクラクラ・・・ とてもHPの更新ということは出来ず、結局、団欒をのんびりと楽しみ、そしていつの間にか0時をまわり、就寝は1時近となってしまった。
★今日のお食事♪
・朝食 : 鉄火巻き・パン
・昼食 : パン×2・おにぎり×3
・夕食 :
ごはん・味噌汁・魚・餃子・各種ツマミ