夕張と言えばなんだろう・・・ そう問われたとき、まずはやっぱりメロンを思いだした。でも、今回この夕張の町へとわざわざ遠回りして入ったのは、そのメロンを見るためでなく、石炭の歴史、またその現状を見てみたかったからだ。この北海道が日本の石炭の巨大な産地であったことは知っていたのだが、実際にその場所がどの辺りにあるかまではこの北海道に入るまでは全くといっていいほど知らなかった。いろんな資料館に入り見たり、また人に尋ねてみたりして、その夕張の名を聞き、そして今回、坂を越えてこの夕張の町へと入った。
町までの坂、それが意外にきつく、目の前に聳え立つ山へとどんどん上って行く。栗山町から道道3号を越えて入ったのだが、その坂を上り切ったところが夕張の町であったのには驚いた。てっきり山を越え、そう、峠を越えて下ったところに町があるのかと思っていたのだが、それが全く下ることなく、そのまま町へ、これほど高地にあるとは思いもよらずビックリしたのだ。
ちなみにそんな日の今朝は昨日からバタバタと音を立てて吹く風を今朝も聞きながら5時に目覚めた。今日も曇り空、それに加えてこの風である。体感温度はかなり寒い。長ズボンはもちろん、上に1枚、2枚とトレーナーを羽織るが、それでも寒さを感じるほどで、寒気を堪えながら、昨日やりそびれてしまった日記の更新に今日も朝から追われていた。食材が昨日の夜で完全に尽きてしまっていたので、今朝は朝食抜き・・・ そんな空腹にも耐えながらも日記を進めていのだが、さすがに9時をまわると厳しくなり、また今日の行動の予定もあることから、9時半ごろ、日記を途中にしたままキャンプ場を出発した。
「腹減った・・・」と、つぶやきながら昨日に引き続き夕張川堤防のダート越えていく。そして最初の町である栗山でようやく朝食を頂く。この時に気付いたのだが、全国チェーンのコンビニはどこも弁当は同じだと思っていたのだが、北海道だけは特別のようで、おかずにホタテなどの海産物が豊富にのっていたのに驚いた。いや、新メニューで全国的に発売されているものだろうか・・・ 詳しくは分からないが、そんな些細な事が気になった今日のコンビニ弁当であった。
お腹も満たして、そして冒頭にも書いた予想以上に長かった坂を越えて夕張の町へと入った。そしてまずは石炭の歴史を知るべく、石炭村内にある石炭博物館を目指した。もうすぐ着くだろうと思われたそのとき、車窓より手を振りやってくる1台の車が目に入った。誰だろう?最初は全く気付かなかったのだが、よく見れば札幌で再会した石井さんではないか!どうしてこんなところに?!と驚いたが、夕張観光を兼ねて遊びに来てくれたそうなのだ。ほんと、嬉しい再会は続く。ちなみに石井さんは今日の飛行機で帰路に着くそうなのだが、その時間まで、この後、共に石炭博物館へと入館することになった。
やや高めの料金で入館に迷うところもあったが、入ってみればそんな迷いも吹っ飛ぶほど意外に面白く、またそれだけの料金を充分楽しめるところとなっていた。植物から石炭が出来る過程、、炭坑の仕組み、さらには実際の炭坑見学と2時間以上、石井さんの飛行機の時間いっぱいまで時間を掛けてじっくりと見学、いや、もう実際は時間が足りなかったほどで最後はやや慌ただしく観光し、そして残念だが、慌ただしく別れを告げ出発して行った。次の再会を楽しみにして・・・ ありがとうございました。
九州でもこうした炭坑を見学してきて、そこで始めてみる炭坑の内容に大いに驚かされたのだが、今回もまた、この北海道の地でもやっぱり驚かされた。とくにその規模である。予想以上に巨大な町がこの狭い渓谷状の大地にひしめき合う様に立ち並んでいたことだ。それが今では面影を僅かに残すだけしか見た目は残ってなく、長屋が立ち並んでいただろう山の斜面には、段々畑のように平地が作られているのを見つけるのが精一杯で、その大半は木々に埋もれつつあった。ただ、役場や駅まで行くと、今も町らしく建物群は残ってはいるが、人気は少なく活気ももちろんない。よく見ると窓ガラスが割れてしまっている酷い空き家も目立つ。やや不気味にすら感じてしまう市街であった。ただ、北海道らしくない、隣同士がひしめき合う家の建て方に炭坑の町らしさ、または日本らしさが見え、ちょっとホッとする部分もあった。
この廃墟に近い町でも、飛び切り立派な建物が、マウントレースイスキー場前に建てられているホテルだ。そしてその前に建つ、ちょっとお洒落な夕張駅。この2つが場違いなほどに浮いている。いや、他が沈みきっているのかもしれない。そんなところに未だ夕張市の役場がここにあるのが不思議で、”市”と言うからには大きな集落がどこかにあるのだろうが、どこにあるかは現時点では分からず、今目の前に見えている現実は”村”としても成り立たないのではと思うほどの寂れた小さな集落であった。そんな町を眺めながら徐々に道道38号を南へと下っていった。
「パタッ、パタッ・・・」、小さな旗が激しくなびいていた。「あれが噂に聞いていた黄色いハンカチか?!」、道路の両脇には数え切れないほどの旗が吊るされ、その無数にある黄色い旗の鮮やかさに、その映画を知らないこの私でもワクワクさせてくれた。また、寂れつつある町を見たばかりのせいか、活気溢れる温かい町にも見え、さらに胸躍らされ、そして誘われるように”幸福の黄色いハンカチ思い出広場”へと上がっていった。だが、自分には実際、何がなんだかよく分からない。黄色い旗を見ようが、その前に並ぶ長屋を見ようが、ファミリアを見ようが・・・ ちなみにこの丘の上の広場には長屋が建ち、その中はちょっとした資料館となっていた。そしてその中には映画に実際に使われたファミリアが展示され、またその建物の壁一面には小さな黄色い紙で不気味なほど覆われていた。よく見るとそれらには「幸せになります!」、「このまま幸せでいられますように!」と、幸福にちなんだ願いが書かれていた。
その奥ではこんな私にも楽しめるようにか、それとも思い出に浸れるようにか、映画の内容が沢山の写真パネルで紹介されていた。さらによかったのが、そのラストシーンには実際の映像を見せてくれ、その黄色いハンカチのちょっとキザな演出ではあるが、それが逆に温かく感じ、魅せられ、思わず涙さえ堪えなければならないほどであった。若者が新規に購入した車で北海道の大地を旅するという映画で、その中で、女をナンパし、また出獄したばかりのある男と出会ったり、いろんな出来事に見舞われるのだが、その出獄したばかりの男が鍵で、話を聞くと、家には妻を残し、罪を償って出獄してきた今でも、この俺を待っていてくれれば家に黄色いハンカチを掛けておいてくれと妻に手紙を送っていた。もちろんその結果はこれらの写真をみれば分かるだろう。厳密に言えばその黄色いハンカチを指定したのもドラマがある。そんな映画なのだが、同じようにこの北海道を旅している私、惹かれぬ訳がないだろう。さらには映画公開年が‘77と、なんと私の生まれた年。私から見れば途方もなく古い映画なのだが、でもなんだかこの偶然に親しみをさらに強くした。
黄色いハンカチを去る頃には、霧雨さえ舞い始める重たい空へと変わっていた。また今日の日中もそうだが、日も差すことなく、ほんと寒い!また、こうして見学に励み、体が余計に冷えてしまったものだから、なおさら外の寒気が肌に沁みた。負けじと自転車を漕ぎ始めるが、震えは止まらないところか逆に手が悴んできてしまう始末で逃げるように近くの温泉へと駆け込み、そして「ふぅ~、極楽極楽。」っと思わず声をあげ、冷えた身体を温めてた。だが、あまりの気持ちよさにちょっと長湯しすぎてしまった。実は先ほど、数時間前だろうか、この夕張に住む谷さんから「よかったらぜひ!」というメールが入り、このあと、伺う事になっていた。温まったところで、再びやや焦りながら自転車を漕ぎ始めて、さらに南の新夕張駅方面を目指した。
この辺りまでくると北海道らしい家々が目立ち始める。また活気も徐々に溢れ町らしくなってくるが、ただ”市”というにはとても及ばない規模である。ここまで来ると辺りには広がるのはビニールハウスばかり、もちろんこれらは夕張を代表する産物、メロンだ!この道路まで甘い香りが漂い、そんな甘いメロンの直売所で働くのがこの後にお会いする谷さんだ。スタート当初からHPを見ててくれた方で、すぐにお会いすることができた。そしてさっそく家に招いてくれ、落ち着いたところでまた温泉へ♪日中でも15度ほどしか気温が上がらない寒い日だけにこの温泉がなおさら気持ちがいい。2度目の入浴を存分に楽しみ、そして食堂で夕食をご馳走になった後は、やっぱりメロン!これがほんと甘くて旨い!こんなメロンを食べたのは初めてで、あっという間に平らげてしまうほどであった。これでメロンの等級としては下の方と言うから驚きだ。今夜はこうして、そんなあま~いメロンを頂きながら、谷さん兄弟と会話を楽しみ、就寝は翌1時頃となった。
★今日のお食事♪
・朝食 : コンビニ弁当
・昼食 : パン×2
・夕食 :
天津飯・焼き鳥等