思えば、この札幌に入るとき、あれほど苦痛を感じ、とても3日間の観光に自分が絶えられないのではと不安になったほどであったのに、今こうして札幌を離れるときをこうして迎え、自分でもあの気持ちが信じられないほどに、今は後ろ髪を引かれていた。街に触れ、そして接し感じた。たくさんの思い出を作り、また札幌の街ならではの良さも見えてきただけに、この辛さが込み上げてきたのだろう。「また、来るよ!」、そう街に向って言い残し、また自分にも、「また来るのだから・・・」と言い聞かせて、東へと向って自転車を漕ぎ始めた。
今日の観光は北海道開拓の村で始まり終わった。時間に余裕があれば江別市の屯田資料館等にも行きたいなとも思っていたのだが、とてもそんな時間はなかった。あまりにこの開拓の村が自分にとって面白すぎた。ただ、入るまではそんなところとは知らず、ついついのんびりしてしまったのが、今思うと悔しい。道中、財布の中にはもう連日の出費でお金は空というのに、スーパー、本屋に寄ったり、さらにはアウトドアショップまで・・・ また開拓の村の同敷地内である広大な野幌森林公園をのんびり散策してしまったりと、後悔こそしないが、でも、勿体なかったかなと思うほど、この開拓の村に魅せられた。
その開拓の村で、最初に出迎えてくれた管理棟を一目見たときから、思わず声を上げワクワクさせられてしまい、またもうこと時には、すでに園内に期待を膨らませドキドキすらしてしまった。ちなみにこの管理棟とは旧札幌停車場を復元した巨大な建物である。園内にと入ると、さらに胸躍らされ、もう目のやり場にすら困ってしまうほどで、洋館、明治、大正期の建物がズラリと並んでいた。またその大通りには鉄道馬車が走り、さらには従業員全てが、当時の衣装に身を包み、雰囲気をさらに盛りたてていた。思わず、どこから見学しようかとオドオドしてしまい気が動転すらてしまうほどだ。それほど私にとっては胸躍らせた。今までこのような洋館などの建物を一軒みるだけの為に数十キロの道程を歩んだり、また市街を捜し歩いたりしているのに、それが一同にここに集まったのだから躍らせられるのは無理ないかもしれない。
ただ平然と建物が立ち並ぶだけではない。ここでは当時のこの北海道の地に立ち並ぶ商業、工業、農業とあらゆる職種の家々が並び、そして家内には同時の様子が実物大で再現されているから驚きだ。また、その再現具合も、たとえば本、一冊一冊まで気を配り、倒れているもの、読み途中のものなどあり、どれも生活感溢れているのに驚き、また自分がタイムスリップさせられたかのように感じた。さらには、資料等も多数展示され、そのような家々が合計30棟以上立ち並ぶのだから、もうどの家々も目が離せない状態であった。
見学は長時間に及んだ。約四時間、もうヘトヘトになるまで、いや、閉館ギリギリまで見てまわり、そして観光を終えた。やや慌てて国道12号を再び上がっていく。もう日もいつの間にか傾きだしていた。照らす夕日を背に国道を外れ夕張川の堤防沿いをさらに上って行く。でも、ここはちょっと予想外の永遠と続く辛いダート・・・ そしてもうひとつ予想外なのが、町で食糧到達しそびれてしまったことだ。100円均一で買おうと最初思っていたのだが、見当たらず、諦めてスーパーへ、そう思った頃には一気に市街へと離れてしまい、いつの間にか目の前には原野だけが広がる世界へ。結局、そのまま食糧も燃料もろくにない状態で、夕張河川敷にあるキャンプ場へと10kmほどのダートを越えて入った。
キャンプ場の規模も他と同様に桁違い。見渡す限り広がる芝生広場にファミリーキャンプのテントがポツンポツンと・・・ 私もその中にポツンとテントを建て、そして沈む夕日を眺めながら、唯一、今日持っていた食材であるラーメンを、これまた、足りるかな?と不安になるほど、ほぼ空になってしまっていたガスボンベを使ってなんとか調理、寂しい夕食となってしまった。日も暮れ、久しぶりの寂しい一人の夜、いや久しぶりだけにそれを逆に楽しもうと思ったのだが、あまりの静けさと、そして満腹感に誘われて、そのまま横になり21時前には、そんな自分の時間を楽しむことなく寝てしまっていた。
★今日のお食事♪
・朝食 : なし
・昼食 : ぎょうざカレー
・夕食 :
レトルトラーメン