5時に起き、そして慌ただしく準備を整え、今日もさっそく仕事に入った。簡単な盛り付け、配膳など今朝も大忙し、そして流れ込むようにお客さんが続々と朝食へと入ってくるとそれはピークに達した。もう、一息すらつく間もなく、またあまりの暑さに大汗流して頑張っていたが、でも、そんなときに「ありがとう。」、そのお客さんからの言葉がほんと嬉しく全ての疲れを癒してくれた。また、自分の笑顔を見て、「いいね、その笑顔!」と、気持ちよく席を後にしてくれるお客さんもいたもの嬉しかった。ちょっとした些細なことなのだが、そのちょっとした親切、気持ちの大切さが身に沁みた。
朝食もようやく落ち着いた頃になると、ちょっとしたお客さんとの会話がまた楽しく嬉しい。また、他に男手がいなかったのを見てか、「若旦那ですか?手馴れた感じで働いてらっしゃってるから?」と何人か訪ねてくれる方もいたのも恥かしながらも嬉しかった。新米であるのに、こうして手馴れているように見られたこともあるが、まさか自分がこうした接客も含めてできるとは思っていなかっただけに、新しい自分の発見であり、それがこうした直の接客だけに、それも直で感じることができ嬉しかった。何事もやってみるものである。
9時過ぎ、朝食の片付けもほぼ終えて、いよいよ今日の観光へと繰り出した。また10kmほどの道を戻って今日は十二湖へと観光だ!標高は150m~300mほどの高地に池が点在し、そこまで登って行かなければならないのだが、でも、今日はその景色と自然を楽しみたい為に、登りが徐々にきつくなって来た所で、自転車を捨て歩くことにした。アメリカのグランドキャニオンに似ていることから名づけられた(昭和28年探検家・岸衛氏命名)という日本キャニオンを見上げながら、森林浴に浸りしばらく登っていき、まず迎えてくれたのが、八景の池であった。まさに鏡のように湖面は光り、木々を写し出せ幻想的な雰囲気を作り出していた。もうこの池ひとつでも魅せられるのに、このような池がちょっと歩くたびに、また次々に現れるから驚きである。さらにはこんな池が33個もあるという。山津波によって突如現れた無数に現れたそうだが、その数が当初数え切れず、高台の大崩山へと登り、そこから数えたら12個だったそうでそこからこの名の由来がきているそうだ。 無数にある池の中でも、この十二個の代名詞ともいえる池がひとつある。それはほぼ一番の高台にあり深部にある青湖である。名前の通り真っ青な池で、その神秘性に思わず驚きの声をあげるほどであった。その僅か数メートル手前の鶏頭場池はやや緑がかった池だけに余計に驚かされる。青湖の四方は木々に囲まれ、また小さな池だけにほんとんど日が差すことがないそうだが、今日はちょうど昼時とあり、また天気にも恵まれたことから眩しいほどの日差しが湖面に注ぎ、真っ青でいて透明度の高い池は、さらに透きとおり湖底の朽ちた大木を移しだし神秘性を高めていた。
ちなみになぜこんな色なのかはまだよく分かっていないらしい。よほどの鉱山物が溶け込んでいるのかなとも思ったのだが、水は清く魚まで優雅に泳いでいた。その姿がまた不思議であり、神秘性さえ帯びていた。
こうして完全に十二湖に魅せられ、そしてあまりの美しさに後にしたくないほどであったが、それでも、時間は刻々と進んでいる。帰ったら、またお手伝いの前に昨日出来なかった日記もやらなければならない。それを思うと気が重くなってくるが、今は出来るだけ忘れ先へと散策した。
遊歩道の両脇には見事というしかないブナの原生林が続いていた。青森と秋田にまたがる白神山地のブナ林のほんと入り口を覗くといったほどのところだが、それでも、大地にしっかりと根付いた原生林に眺め、そして見上げながら抜け、最後は緑と真っ白あ岩肌のコントラストが美しい日本キャニオンを経由して元の自転車置き場へと戻った。
白神山地を振り返りながら、また10kmほどの道程をアップダウンを越えて15時頃に宿へと戻った。そしてさっそく温泉へと入浴し、落ち着く間もなくHPの更新作業に入った。しかし、そう思うようには進まず、ほとんどやり終える事が出来ずに、また宿のお手伝いが17時より始まった。今夜もセッセと働き始めたとき、こんな私にも同じ境遇の相棒ができた。この温泉に魅かれ日帰り入浴に来たライダーで、やっぱり女将さんに声掛けられ、2日間ではあるがお手伝いすることになったそうだ。そんな佐藤さんと今日は共に、また昨日の布団敷き、片付け、準備と慌ただしく働きまわり、今夜は昨日よりやや遅くなり23時ごろにようやく仕事を終えることができ、このあと、相部屋となった佐藤さんとお酒を交わして、楽しい旅の話で盛り上がり、夜はさらに深けていった。