この佐多岬、普通の一般的ルートでは人力(徒歩・自転車)では南端にたどり着くことが出来ない。それは岬までの長い有料道路が歩行者通行不可のためだ。さらに、他の整備された遊歩道もなにもない。そんな人力にとっては悲惨な場所なのだ。
そんな場所だが、希望が見えてきた。噂では聞いていたことなのだが、この記事を知って、自分もそのルートで挑戦しようと決めた。それは雑誌ビーパルの「行きあたりばっ旅」という記事に東海岸線沿い歩くルートが紹介されていた。今日はそのルートで本土最南端の地へ朝鮮してみようと思う。
今朝は6時に起床。今日もやっぱり日記の更新作業から始まった。そして食事の方は軽くカップラーメンで済まして、8時半には出発準備を済ませ、いよいよ佐多岬アタック開始だ!ちなみにテントの方はそのままキャンプ場に張りっぱなしにして、最低限の荷物だけ持って、ほぼ空荷でのアタックで快適な走行がスタートした。
ただ、この後くらいから徐々にアップダウンが増えだして息が上がってくる。さらには強風が吹き荒れ、追い風の時は助かるが、向かい風の時は、スピードを止まらせられてしまう。そんな酒や風のピークは佐多町を越えた辺りからであった。その峠のきついこときついこと!そして強風・・・ せめてもの救いは空荷ということで、それがなければ、その苦しみは半端ではなかっただろう。そんな坂を必死で越えて、さらにはアップダウンをこのあと幾つも越えていく。
そうしてたどり着いたところが佐多岬有料道路入り口だ。 そこは冒頭にも書いたとおり歩行者は通過できないので、その脇の旧道へと入るのだが、その道の勾配をみて驚かされた。空荷でなければとても登れないような坂、いや空荷でも一杯一杯の坂で、最低ギアでS字を描きながら必死で登っていった。佐多岬までの最後の難関だ!っと自分に言い聞かせ必死で登りきると、後は予想通りで一気に下りきると、そこは本土最後の集落”田尻”へと入った。そこを海沿いに抜けると最後は堤防沿いに通行止めとなる。そこから後は歩くことになる。最南端本当の佐多岬を目指して!
まず最初はゴロ石の浜を1kmほど歩く。いろんな貝殻を見ながら楽しく歩ききると、まずは最初の難関である。パッと見は海沿いの岩場ルートがとれそうなのだが、潮が満ちているせいか、ちょっといけそうもない状態。山側を見てもルートらしき道は見当たらなかった。そのため、やや迷いながらも、仕方なく山側を強行突破してみることにした。草を掻き分けてちょっと入ってみると、そこには獣道発見!難なく最初の山越えを越えることが出来た。ただ帰路に気付いたのだが、その時は引潮で問題なく海側の岩場を越えられそうだった。そんな潮の具合に合わせてルートを選ぶのが適切なのかもしれない。
この後は難ルートが続く。山側を歩いたり浜を歩いたりと、なかなか大変。とくに山側はどこまで行ってどこで降りるのかが鮮明ではないので、そこれは臨機応変に越えていく。ただ、途中にある、「行きあたりばっ旅」のシェルパさんが付けてくれた虎ロープの目印がかなり役立った。ただ、それだけのルートではなく、潮の具合では海沿いも越えられるし、また元々、地元の方が付けただろうと思われるロープも幾つかあり、そこからでも登れたり下れたりもできる。でも、逆にそれが紛らわしく、ルートを探しながら必死でただ一人、最南端を目指した。
こうしてある程度の難所を越えていくと、とうとう前面に目指す岬と、そして一般的な最南端の展望台を見ることが出来た。以前、車ではこの展望台に一度行ったことがあり、とても懐かしく思え、また今回はここまで自転車で来たことを改めて実感した。
この先は基本的には海岸線沿いに進める。途中に灯台主の家屋跡があったり、そんな歴史を感じさせる史跡を横切りながら、必死で歩き、そして出発からほぼ1時間、とうとう本土最南端であるこの地に到達した。一般的なルートでの到達は、これよりはるか後方にある展望台の為に、こここそが本当の最南端だ!そこはただの岬ではなく、まるで人工的に作られたような崖が窪んでテラス状になっていて、そこには自分だけのスペースがあった。そんな空間でのんびり昼食をとり、幸せな時間を過ごした。ただ、それは長くは続けられなかった。昨夜からの強風がさらに強まり、時には立っているのがやっとの状態で、そんな風だからもう寒くて寒くて・・・ もっと長く居たかったが30分ほどの休憩で後にすることにした。そんな予定変更から時間に余裕ができた。そんなことから、一般的ルートの上の展望台目指して見ようかとルートを探してみることにした。
登り口がどこかないかと探していると、元レストハウスへとあがるルートを発見。ここは元は遊歩道だったらしく、草木が生い茂り荒れてはいるが、ちゃんとしたルートで登り、有料道路で行く一般遊歩道へと入ることが出来た。そこから展望台へ上がり、そして今まで歩いてきたルートを見下ろしながら、懐かしいこの展望台の地を堪能した。ただこのルートはやっぱり有料道路から来る有料施設内なので、やっぱり違法にあたるため、ここはあまりお勧めできない・・・ そのため、早々に引き返して元の海岸線へ戻った。ちなみにこの展望台、よいことではないが沢山の落書きがある。でも、他とは違うところは、その中で熱い思いがたくさん書かれていることであった。「今から日本縦断に出発します!」、「徒歩日本縦断完結!みんなありがとう!」などなど、そんな思いも書かれていることであった。そんな中に、自分が旅で知り合った方の落書きがあったのにはビックリし、また面白かった。
海岸線の道に戻り、帰路は一度通った道だけに苦もなく戻れるだろうと思っていたのだが、それが、潮が引いていたこともあり景色は一変し、来るときには通れなかった岩場が通れたりと、道も一変していた。そんなこともあって、逆に山越えの時は分かりにくく、何度かルートを捜し歩いてしまった。そのため、帰路もやっぱり1時間ほど掛かってしまい、やっとの思いで元も田尻集落へと戻ることが出来た。ホッとしたときでもあり、またその苦労があったからこそ今回の到達の喜び、感動は大きなものとなり、最高の佐多岬となった。