「すいません・・・」、そんな言葉が今日の始まりであった。佐倉城跡公園の中の東屋の下でテントを設営しての昨夜の就寝、そしてようやく夜空が明るくなり始めた6時に起床し、そして程なく清掃員がやってきた。「こんなところですいません・・・」と慌てて寝袋から這い出てテントから顔を出すと、愛想のよいおじさんが、「いいよいいよゆっくり寝ていて!」と、さっさと清掃を済ませていってしまった。私はテントを撤収する間もなくおじさんは行ってしまい、結局そのままそこでテント内でPCを始めたり、食事をとったりさせてもらうことにした。喉がかなり痛く風邪が酷いだけに、外の寒さが堪え、あのおじさんの言葉に感謝していると、今度は7時過ぎだろうか、また係りの方らしい方がやってきた。同じように慌てて謝ると、逆に「いやいや、ほんとはいけないんだけど、でも、こうしてどんな形であれ利用して貰える事が嬉しいよ!」、そんな温かい言葉で答え笑顔で去っていった。朝のそんな2人との忘れられない出会いから今日の1日が始まった。
今日目指す”東京入り”までは僅か3、40kmであり、自転車を漕ぎ出せばすぐの距離であるのだが、しかし、それでも今日は時間に追われていた。それはわざわざ内陸へと足を運んでまで来たこの城跡に建てられた”国立歴史民族博物館”の見学のためで、開館の9時半とほぼ同時に見学を始めたのだが、さすがは国立だけあって資料は豊富で見くたびれるほど・・・ しかし、今まで行って来た個々の資料館とは違い、日本の歴史全般を紹介しているだけに、今まで実際に訪れたところが目白押しで、そこの模型などがあった時などもは、旅のその時を思い出し、感動させられる事も多く、またそこが、日本を代表する史跡であったとこを改めて実感もするときであった。まさに、改めて今、この博物館で史跡の日本一周をしている気分であり、今までの旅を振り返りながら、時には笑みを浮かべ、時には辛いことを思い出し目に涙を堪えながらの全国の振り返りの歴史資料館であった。
国道296号、そして14号と、いよいよ東京へと自転車を走らせた。徐々に増えていく車、そして市街地化していく街並みであるが、しかし、普段なら苦痛に感じるそんな道程も今日ばかりは「東京に入る!」そんな喜びと興奮が不安、苦痛を掻き消し、漕ぐペダルも自然と早くなっていた。ずっと、前から楽しみにしていた東京という土地。日本の中心地であるだけにその情報量、資料館なども多いこともあるが、その都市のじっくりこの目で見てみたいという好奇心も強い。今まで車で何度か走った事はあったが、常に都会を避けるために夜間に突っ切るという走り方で、実際にまだ街を観光したこともなければ触れたこともない。気分的には始めての東京入りという気分である。どんなところなのか、その期待を胸に千葉県から東京都への県境を越えていった。
ちなみに今夜の寝床は実は決まっていた。そのお陰で不安なくこうして東京へと漕ぎ進めることが出来た大きな理由だろう。ちなみにそこは”伊達さん”宅で、HPを通して誘ってくれたお宅である。同じく自転車旅行好きで、また、同じ旅人とその中で会っていたりとそんなメール交換を以前よりしていたので、顔も知らないはずなのに会う前から初めて会うような気がしなかった。そんな伊達さん宅へと到着したのは17時半。もうこの時期ではすっかり日が落ちてしまい、最後は真っ暗な中での走行で、都市ならではの高架部分を越えられなかったり、線路を渡れなかったりと、そんな事にも悩ませれながらの到着であった。そしてそこで迎えてくれたのは満面な笑みの2人であった。”伊達”さんと”かっちん”さんで、この後、伊達さんのアパートで旅の話に尽きることなく楽しい時間が流れていったのだが、しかし、肝心の伊達さんがこの後、学校の用事の為に一時抜けてしまった。その間は、本屋さんで今後の東京観光の下調べをしたり、また部屋へと戻ってからも、かっちんさんにいろいろ東京について教えて貰いながらパンフレット片手に東京観光の予定を考えていたりし時間を過ごした。
22時頃、伊達さんが帰宅してからのちょっと遅い夕食は近くの定食や”千里”へと連れて行ってもらったのだが、そこで食べた定食のあまりの豪華さに”かっちん”さんと共に目を丸くした。たかが500円の定食なはずなのに、ごほんは大きな茶碗にテンコ盛り、そしておかずの品々の数にも驚く。半熟卵まで付き、さらには食後のコーヒーまで出るサービスの良さである。大満足、そして驚きの夕食であった。この後、お世話になったかっちんさんと別れ、部屋で伊達さんと旅話に花咲かせながら2時近くまで飲み交わし、こうして東京での一日目の夜が暮れて行った。ありがというございました。
★今日のお食事♪
・朝食 : 半額弁当×2
・昼食 : チキンカツ定食
・夕食 :
麻婆豆腐定食