※コースタイム:菅沼(9:00)~弥陀ヶ池(10:05)~山頂(10:50)~下山へ(11:45)~菅沼(12:50)
連続登山7つ目の山は日光白根山。ここへと登るためには関東では屈指の標高を誇る峠”金精峠”を越えなければならない。標高は1843m。すでに一昨日にいろは坂を越えて標高1200m以上まで上ってきているとはいえ、まだまだ坂は立ちはだかり、さらにはそこから標高2600m近くまで登る登山が待っている。今日も坂、坂、坂、であるが、また気合を入れ、しばれる朝の寒さに耐えながら自転車を漕ぎ始めた。
1843m!とうとう峠のトンネルが見えてきた。最後の力を振り絞り必死に漕ぎあがるが、そのトンネルに近づけば近づくほど風は増していった。しかしゴールが見えた喜びに残った力は一気に放出し風に立ち向かい金精峠へと上り詰めた。ふーっと一息つき呼吸を整えた後はそのまま一気に下りはと入って行く。当初の予定ではここ金精峠から日光白根山へと登山に入ろうかと思っていたのだが、しかしこの風である。ずーと尾根道を歩くこの登山道はさすがに歩く気がせず、また、山の頂に掛かる雲を見上げるととても歩こうという気にもなれず結局は最短ルートでの登頂を目指すことにし、この峠の先の少し下った菅沼登山口を目指した。
さて、こうして向かい風吹き荒れるトンネル内を汗水流して越えれば、風は不思議となくなり気持ちよく下っていけばそこは登山口である菅沼だ。到着と同時に登山への出発準備に入り、気合を入れなおして白根山へと歩みだした。この白根山。どんな山だろか、まだこの頂を連日の悪天登山ということもあり望んだことがない。どんな形で、どんな姿なのかは地図より想像するほかなく、小さな頂きを連ねる変哲もない山頂だろうと思い、それほど期待していなかった。さらには、昨日も温かかったことから雪も未だにないだろうとも思われただけに登る足取りは決して軽快とは言えなかった。もちろんそんなことよりも最大の原因はこの重い空であり、山頂方面を見上げる度にため息がこぼれるほどであり、最近どうしてこれほど山で好天に恵まれないのあろうか・・・ と思い、またため息ついては足を踏み出していく今日の出発であった。
しかし、山の天気の変化は信じられないほど早かった。あれほどの雲がみるみる晴れ始め、青空さえ顔を出し始めるではないか!それと共に自然と足取りも早まり、また、登山道はそれほどきつくもなかった事もあり、その変わる天気に誘われて一気に山頂直下の弥陀ヶ池へと駆け上がっていった。そして目の前に広がったのが青空の下に、雄大に聳える日光白根山の山頂。その雄姿にも驚き惹かれたが、しかし、それより山頂付近が白く光輝いている姿に目を奪われ、その一目で白根山が好きになったほどである。まるで一面の白い花を咲かせているかのように見せている山頂、その正体は木々に付く霧氷であった。雪、氷の芸術が作り出したそのお花畑を早く間近でみてみたいと、この先、さらに足は速まるのだが、しかし、それに近づくに連れて逆にスローペースへと戻る。その木々の霧氷に魅せられ足を止められるからであり、尾根に出ただけに肌に刺すような冷たい風が襲う中ではあったが、しかし、もう気持ちは高ぶり寒さを忘れて霧氷に魅入っていた。こうして白い花を楽しみながら直下の急登を上って行く。急なガレ場、岩場が続き心臓は鼓動を早めるが、しかし、この青空、そして霧氷に夢中で疲れを忘れ一気に山頂へと駆け上がっていった。
快晴!山頂では久しぶりの大展望が広がっていた。この辺りまで来ると日の当たりが強く霧氷はすっかり融けてしまっていたが、しかし、目の前に広がる山々に見惚れるあまり寒さを忘れてしばらく呆然。そのしばらくがとてつもなく長く、いつもなら2、30分で寒さに耐えかねて下山へと歩き出してしまうのだが、今回に限り1時間近くもその展望をただ眺め続けていた。それも眺める方向はほぼ決まっていた。それは南である。次に目指す皇海山、そしてその奥には赤城山、右手には浅間山が聳え、そのさらに奥には八ヶ岳や秩父山系の山々まで望むことが出来た。空気は澄んでいるといっていい。しかし、富士山まではさすがにダメだろう、目を凝らして探してもさすがに見えなく諦めていたのだが、しかし、ジーっと先を眺めていると雲の上に雪を被った山が見えてくるではないか!まさしく地元静岡よりいつも見ていた富士山であった。早く望みたい、あの姿をとずっと思い続けてきただけに感動、喜びは大きく、ただその一点だけを見つめ、1時間近くの時間を過ごした。 防寒着を着込み一気に坂を駆け下りる。もう、早く町へ降りたくてたまらなかった。昨日書いたがお金が郵便局に行かない限りなく、何も買うことができない。何か食べたい・・・ そのことだけをただ考えて自転車にまたがり金精峠を後に。しかし、目の前に待っていたのは、何故かまた上り坂であり着込んでしまっただけに、また疲れもピークなだけに四苦八苦・・・ しかしそれを何とか越えて本格的な下り坂へと入れば、もう気持ちがいいこと!♪こんな快適な下り坂は久しぶりである。何より嬉しいのが寒くないことで、ここ最近はあまりの寒さに上りより下りの方が嫌なほどであったが、強い日差し照りつける今日に限っては鼻歌も混じるほど楽しく降りていくことが出来た。そんな道中、驚いたことがひとつ。途中、山の山腹といったところだろうか、丸沼スキー場という大きなスキー場があるのだが、そこのゲレンデが一部、真っ白に光り輝いていた。雪であり、さらにはそこを大勢の方がすでに滑っているではないか!そのオープンの速さに驚きながら、またスノボーが好きなだけに羨ましくてたまらない気持ちを堪えながら、楽しそうに滑る人たちよ横目にさらに坂を下っていった。
こうして町へと入って行き、そしてさっそくお金を下ろた。また、そこでもう不要になった75Lザックを袋につめ送り返した。この先の皇海山で雪の量によっては必要かもしれないとここまで持ってきていたが、しかし、この好天では雪はなく重いザックを送り返しやや身軽にして次の寄ったところはやっぱりスーパー。そこで久しぶりの買い物だ!ちょっと贅沢に!そう思って入ったのだが、やっぱり手が延びるのは半額パンばかりで、今日の昼食も結局はパンとなり、この先のコンビニ前の広場でのんびりとちょっと遅い昼食をとった。
ようやくお腹を満たして再出発♪その前にコンビニへとゴミを捨てに行くと「もしかして中村さんですか?」と声が、話を聞くと、なんと昨日まで自転車のぶらり旅に出ていた柴田さんであった。それも旅中はメールを何度か頂いていただけに、また昨夜も「帰って来ました!」とメールを頂いただけに、その方とこうしてすぐに偶然会えるとは思わずお互いビックリで、ともにその驚きで言葉を失うほどであった。柴田さんも偶然このコンビニへと立ち寄り食事を取っていたところだったそうで、共にどちらかが食事を取らなければ合わなかっただろう。その偶然があるからこそ喜びを大きくしばらくお互いの旅の話で盛り上がった。
こうして人に会うことにより元気を貰い、疲れた身体を奮い立たせて、また次の山”皇海山”と登山口までへと上るべく自転車を漕ぎ出した。その登山口まではなんとダートを20kmも上らなければならないという難路であり、時間的にもそこまで行けるか不安であったが、しかし、どこまで行っても所詮は林道であり、日暮れと共にどこか路肩を見つけて野宿しようと、そんな気持ちで林道へと向かっていった。さて、そんな道中、まだ国道から離れる前のことである。自転車のリアに違和感を感じ振り向くとなんとキャリアが破損しザックが落ちそうになっているではないか!これには慌てて自転車を止め補修に入ったのだが、しかしすでに部品は欠損しこのままでは修理は不可能。そして慌てて立寄ったところがホームセンターで、そこで針金を購入しなんとか補修した。やや不安はあるものの最後まで持ってくれることを祈りながら改めて自転車を漕ぎ始めた。
こんな事件があった為に時間はどんどん追い込まれ、とても今日中に登山口まで行くことは間違いなく不可能になってしまった。仕方なく、その麓で一泊し明日朝一より林道へと山へとアタックをこころみる事にし、そうと決まればやや時間に余裕が出来、ちょっと観光へと足を運んだ。そこは100名瀑のひとつ”吹割の滝”で、もう何度も訪れたことのあるこの滝は私のお気に入りのひとつである。落差こそないが、しかしその水量、さらには谷を囲むようにして流れ、そして落ちる滝に”東洋のナイアガラ”という俗名も納得の大迫力である。何度も来ているとはいえ、今回も変わらず魅せられ、「やっぱりこの滝だな♪」と自分の中で一番と改めて思いながら後にし、そして寝床探しへと向かった。
しかし、その寝床が見つからない。仕方なく国道を外れ林道方面へと自転車を走らせながら寝床を探す。もう水やトイレは諦め、ただ寝れそうな空地だけを探して上がっていくが、なかなか見つからず急な坂ばかりが目の前に立ちはだかった。これを越えれば・・・ と必死で疲れた身体を奮い立たせるが、越えた先は見事な高原畑が広がり、狭い谷間の街からは想像も出来ないほどの広大さで、こんなところがこの町にあったのかと驚かされながら広大な畑を抜け、さらに坂を上って行った。せめてこの集落から外れなければ・・・ そう寝床を探しながらどんどんと上って行く、そして、よいやく20kmの林道入口まで来た時、ほどよい空地を見つけてそこで幕営。持ってきた4Lの水で今日明日過ごすために、なんとか遣り繰りしながら夜を過ごし、22時頃就寝した。今夜は不気味なほど月明かりが明るかった・・・
★今日のお食事♪
・朝食 : ごはん・レトルト丼・味噌汁
・昼食 : パン×4
・夕食 :
ごはん・店屋物コロッケ・味噌汁