今朝も快晴に恵まれ、羊蹄山、室蘭、駒ケ岳等に囲まれた噴火湾のたもと国縫の町で気持ちよく起床。今日はいよいよ北海道の旅を終えて、出発点でもあった函館の地へと戻る。2ヶ月半近い北海道の旅で、楽しさ苦しさ、いろんなことがあったが、しかし私にとってはこうして北海道を終えたこともただの通過点という感覚でしかなく、今日、北海道を周遊を終えるという実感どころか、朝からそのことについて考えもしていなかった。それどころか、日本一周ということ自体がゴールでなく、通過点、いや、そこが出発点でもあるとも思っているだけに、この北海道を終えることについては「ふー、やっと終わったよ~」ということ程度しか、この時は思っていなかった。
目指す函館まで約100km。普通に漕いで行けば充分に余裕をもっていける距離ではあるが、途中で観光もしたい、また、函館では献血もしたい、そんなことから、出来るだけ早く!そんな思いで出発準備しての出発は8時。朝5時からの奮闘で、今日も朝から慌ただしく時間は流れていった。ただ、漕ぎ出せば一変、大空に広がる青一色の世界、そしてたくさんの魅力ある山々が迎えてくれ、そのあまりの綺麗さに何度も振り返っては気持ちよくのんんびりとした時間に変わる。また海沿いを走るだけにどれも海越しでの展望であり、青く輝く空がまた印象的で目を楽しませてくれた。そんな湖畔道路も森町より離れ峠を越え函館へと目指すことになる。ずっと望んできた駒ケ岳はもうすぐ目の前、見上げるところへと変わり、そして左手へとやり過ごすと、そこは大沼公園。知名度高くよく耳にするところだけに国道を逸れ、向ってみると、その大沼越しに見る駒ケ岳の美しさに驚く。先ほど噴火湾方面から見た駒ケ岳とも違い、こちらはその反対からの眺望。同じ山かと投げかけたくなるほど変わる山容だが、しかしその雄姿と魅力は変わらず魅せてくれていた。山の西端に突き出たピークが印象的なこの駒ケ岳を大沼湖畔に整備された大沼公園の遊歩道を散策しながらの眺望で、どこから見ても絵になるその風景、またこの大沼だけでも充分と魅力あり、小さな小島が点々とまるで松島のように並ぶ。それら島々を橋で繋ぎ渡る遊歩道で飽きることなく、その魅力に浸っていた。
お昼過ぎ、大沼公園を後にし、また国道5号へと復帰し函館を目指した。トンネルを越えればもうそこは海に突き出た函館山を見下ろす峠上。ここまで何の思いもなくこの函館の地を目指してきたが、この北海道出発時に足を踏んだこの函館の町を見下ろし、そしてその先に聳える懐かしの函館山、峠を越えた突如、前触れもなく現れたその懐かしの町並みを見た自分であったが、そこで自分でも信じられないことがこのあと起こった。なんと、涙がぽろぽろ流れてくるではないか。今まで通過点としか思っていない、この函館の地で、さらには、この今日、北海道周遊を終えるということについても考えもしていなかった自分が・・・ と涙を流しながらも不思議に思う。確かに懐かしい、思わず「帰ってきたんだ~」と前回長く滞在し見てきただけに思い入れも強いが、しかし、そこに達成感があるわけではなった。何度も書くが、ただの通過点であり、さらには日本一周ゴール事態も通過点であり、自転車を漕ぎながらもっと先を常に見ていた。その先に夢や目標、またまだ形にならないものばかりだが、しかし、未知も多いからこそ、自分がどうなるのか楽しみでもある。そんな先を見つめている自分がなぜここで涙したのか自分自身でも最初わからなかった。それでも涙はこぼれる。訳が分からない、そう思ってしまったが、しかし、この後、落ち着いてから考えてみると自然と答えが出てきた。それは自分の”緊張の糸”がほつれたのだろう。いままで全国周ってきた中でも好きな町でもあり、長く滞在し見てきた土地を見下ろし、「帰ってきたんだ~」と、まるで故郷に帰ってきたような錯覚に襲われ、そして北海道の旅が終わることをここで初めて悟り実感した。それと同時に今まで「目標・夢はまだまだ先だ!頑張らなきゃ!」と自分に言い聞かせ、そして気持ちを常に張り詰めながら維持してきたこの旅。そうでなければこの北海道だけでも達しえなかっただろう。それほど自分は強くない。弱い自分をそうやって維持し頑張ってきた。それが、この懐かしの景色を眺め一気に緊張の糸がほつれ、そのずっと抑えてきた気持ちを爆発し素の自分が出てきたのだろう。今までの苦労、苦しさ、辛さ、それらが一気に噴出し、涙へと変わった。そして、自分では「遊んでいるようなもんだから・・・」と言い聞かせてきたこの旅が、ここまで自分にとっては苦しく辛かったということを初めて知ることにもなった。そしてそんな弱さを、弱さと思わないことによって何とか維持してきた自分の精神力の強さにも驚くばかりであった。
そんな涙の函館入り。そして自分自身の発見でもあった函館入り。まず迎えてくれたのが赤松が騒然とならぶ”赤松街道”で、この函館と札幌を結ぶ旧街道だ。”道100選”にも”街路樹100選”にも、さらには”歴史街道”にも指定されているこの日本らしい街並に涙から一変、胸ときめかされることになった。そして日本へ帰ってきたということを強く実感。日本の土地、文化を見てきただけに、この北海道はまるで異国のように私には写り走っていた。でも、この道南だけは別であった。詳しく書くと、室蘭、小樽以南は私にとっては日本であり、またそれより以北は異国であった。異国の地も何もかもが新鮮で楽しい日々だったが、しかし慣れ親しんだ日本、やはりそこが私の好きな所であり、落ち着く場所なのだろう。それを帰路は室蘭辺りから感じ始め、そしてこの函館で目に見えて実感することにもなった。何せこの街道ひとつとっても、松並木、そして、その脇に何十も立ち並ぶ茅葺屋根。それら昔からの日本建築物が今も多数現役で活躍し、ここが北海道かと信じられないほどであった。また神社、寺も多数並び、以北にはない、どれも日本らしい建築構造な建物だけに日本だ~!と思わず口にするほど嬉しくもあり、ホッとする場所でもあった。 ★今日のお食事♪
・朝食 :
高橋さん手作り弁当・味噌汁(ほうれん草・ナメコ入り)
・昼食 : パン×2・コンビニ弁当
・夕食 :
さけのちゃんちゃん焼などなど