※コースタイム:起床(5:50)~出発(7:50)~途中1時間ほど休憩~美瑛駅(17:30)
なんだか昨日で登山が終わってしまったようで、もうホッとしてしまっていたのだが、実際はまだ今日一日、この旭岳温泉から美瑛まで歩くと言う帰路が残っている。約30kmほど・・・ 気の遠くなるような距離をザック背負って戻らなければならない。ただ、どうしても本格的な登山を終えただけに気が抜けてしまい、今朝も起床も6時近くとやや遅い朝であった。
雲ひとつない一面の青空が迎えてくれた。そして暑いこと!この北海道に入って初めて朝、あまりの暑さにテント内にいられなくなり目が覚めたほどだ。そんな暑さの中を歩かなければならないと思うと気が重くなるが、でも、なんだか、この快晴が自分の最後の日を祝ってくれているようで嬉しくもあった。さあ、こうして、今日の旅が始まったのだが、基本的に美瑛までは下り、そして行きと違い荷物もだいぶ軽くなっていることもあり、出発前は意外となめて掛かっていたのだが、実際、8時ごろ、歩き始めると、たかが2時間ばかりでもうヘトヘトになってしまっていた。初日から痛めてしまった足の裏が痛くて堪らない。マメが出来ているという訳ではないが、足の裏全体がもう打撲しているのではないかと思うほど、一歩踏み出すたびに激痛が走る。それでも、あまり、のそのそしていては日暮れまでに到着できない・・・ だが、もう何時間も歩いているのに仰ぎ見る旭岳は一向に遠ざかることなく、すぐ前面に未だ聳えていた。
疲労の色がだんだん濃くなってくる。もちろん連日の疲労からくるものもあるだろうが、この日差しもまた堪らない。7月7日に北海道で入って以来、初めての夏らしい暑さになったのではと思う。「夏だなぁ~」と、この夏初めて感じるその季節感に嬉しさも思えながらも、実際はかなりヘタっていた。ただ、甘えることは出来なかった。一歩一歩確実に進んでいかなければ今日中に着くことはできない。出来れば日が暮れる前には着きたい。もう、ただ黙々と歩くしかなかった。何も考えずに・・・ 足だけを動かし、ただ前だけを見て・・・ 疲れたと思うと、痛いと思うと、全く足が動かなくなってしまう。だからもう何も考えずに・・・
辛い辛い時間だけが流れていく、ただ嬉しかったのが、何台か「乗って行くか?」と声を掛けてくれた方がいたことだ!もう、飛び乗りたい気持ちであるが、前にも書いたとおり、ここは自分のケジメとして歩き通したかった。悔しくて仕方がないが、「ありがとう。」と笑顔で答え、自分の意思を伝える。そして果てしなく続く車道へとまた立ち向かっていく。
お昼近くなるとさすがに疲労が濃くなり、もうその一歩が出なくなってくる。さすがにあまりの辛さに、そして暑さに、ここで初めて休憩をとった。ちょうど良い東屋を見つけたこともあった。腰を下ろすとドッと全身に疲れが襲い、そのまま倒れる様に30分ほどベンチで仮眠・・・ さすがにこうして一度横になってしまうと、次の一歩がなかなか踏み出せなくなってしまう。とは言っても休憩ものんびりしている時間はない。終われるように、また重いザックを背負いなおし、また果てしなく伸びるいかにも北海道らしい車道へと歩き始めたのだった。
あの休憩から2時間は歩いただろうか、すでに14時近くになろうとしていた。ここに来てようやく小さな集落へと入り、そこの小さな商店を見つけてパンと菓子を買い、空腹を満たして次の一歩へとまた踏み出していく。ここまで来るとだんだん身体が麻痺してくる。この苦痛でしかない徒歩がとても楽しくも感じたときもある。とくにこうした集落に入ったとき、町の様子、姿を肌で感じることができ、この歩くと言うスピードに魅力を感じたのは確かであった。この疲労の中でも楽しい。自転車にはない良さが至る所で溢れ、1つの景色を見るにしても全く違ったものに見えていた。でも、どうせ歩くならもっと好きな場所を歩きたい、古道、歴史街道など、そんな道をのんびり歩いてみたいな、そんな夢を抱きながら、黙々と美瑛市街に向けて果てしない道を歩いていた。
無心で歩いたり、時には歌を唄い気持ちよく抜け、時には般若心経を唱えてお遍路さんを思い出したりと、歩きながらいろんな事を感じ、思い、苦しんでいた。また、もうひとつ歩きながらしたことは昨日書けなかった日記書きで、小さなノート片手に歩き続けた時間もあった。だが、さすがにもう日が傾きだす頃になると、残る力は気力だけになっていた。足の裏は痛いどころか、激痛さえ走り続けていたが、歪む顔を必死で耐え続け、未だ見えない美瑛の町をひたすら目指し続けた。
もう、気付けば17時になろうとしていた。一向に美瑛は見えず、日のあるうちに本当に着けるのかと心配になり始め、それと同時に今までなんとか自分を維持し続けてきた気力にも負けそうになり始めたとき、「線路だ・・・」、思わず笑みがこぼれた。あと町まで2,3kmだ!もう最後の気力を振り絞るのだが、それでも、その力が出ない。1kmも歩かない内にもう立ち止まってしまう。何もかもこの足の激痛のせいであった。疲労、体力面よりもこの激痛が全て悩ます理由であった。もう涙が出てくるほど痛みが走るが、それでも、歩かなければ帰れない。もう必死で歩きとおし、そして6日振りとなる美瑛の市街へと入っていった。
すぐに宿には入らなかった。いや、入るまでにはまだ1,2km頑張らなければならず、その力がもう出なかったことがひとつ、そしてもうひとつの理由が休憩も兼ねて駅前の無料インターネットコーナーでネットサーフィンして行こうと思ったことだ。もちろん自分が今こうして登山から帰ってきたことをHPに書き込みたく、もう這う様に入り、そこで約1時間、掲示板、メールを返信したり、他のタイトを回覧したりと、ここでようやく徒歩ダーという時間を忘れることができた。
宿であるRH”蜂の宿”へ戻ったのは19時過ぎ、それから休み間もなく、近くの銭湯へと自転車へ向かったのだが、さすが自転車!♪あまりのその速さに驚くばかりで、もう疲れなどは吹っ飛んでしまっていた。なんて素晴らしい乗り物なんだ!と喜びながらも、これではやっぱり土地を見るには早すぎる、徒歩の自然なスピードの良さもここで改めて感じながら銭湯、そしてスーパーでお弁当と買出しをしてから、ようやく宿で一息、今夜も込み合う宿で、ちょっと豪華に買ってきた酎ハイで喜びのお酒とし、今夜はHPの更新も忘れてライダー方みんなと夜遅くまで楽しく過ごした。
★今日のお食事♪
・朝食 : ごはん&レトルトカレー
・昼食 : パン×2・菓子
・夕食 :
半額弁当