※コースタイム:起床(5:50)~出発(7:50)~化雲岳(10:40)~忠別岳(12:45)~(20分休憩)~白雲キャンプ場(15:40)
視界はない。今朝も深い霧とそして風、さらには断続的に雨がテントを叩きつけていた。昨日と何も変わらない天気に、昨日の辛さがそのまま頭に甦り、とてもこの中を歩き出す気にはなれなかった。すべての気力を奪われとても出発準備する気にもなれず、結局、そのまま2度寝、3度寝・・・ このまま回復しなければ連泊すら考える重苦しい朝であった。
4時に起きてから、そんな無気力の時間だけが流れていた。ただ6時を周るころになるとあの忌々しい雨のほうはと言うととりあえず上がってくれてはくれたが、それでもすぐに出発という気こそなれなかったが、それでも、今後晴れてくることを期待して準備をしぶしぶながら始めることにした。
相変わらず、ずぶ濡れな荷物、どうすることも出来ず仕方なく適当にザックに押し込み、重い足を必死に奮い立たせて歩き始めた。100名山、トムラウシの直下まで来ていただけに、山頂まであと20分ほどの距離であるが、その間に自分をこれほど感動させる出来事が起ころうとは思いもしなかった。パーっと見る見るうちに辺りを包んでいた霧は流れ、さらには姿を隠していた日まで差す勢いでどんどん回復していき、青空まで姿を続々と現し始めた。照りつける日差しは目を覆いたくなるほど眩しく、また空から眼下へと視線を移すと、昨日、見ることが出来なかった自分の歩いてきた道筋、大地が果てしなく広がり、その遥か先には、あの忘れはしない荒々しさを見せる十勝岳がどっしりと雲上に聳えていた。雨上りともあって、空気は恐ろしいほど澄み、望む山々は手に取るほどに近くに見え、また、眼下の大地などはもう目の前にあるジオラマの様にさえ見えるほど鮮明に姿を現してくれた。
全てのものが光り輝き、その眩しいほどの光が、今までの苦労、苦痛、全てを感動へと変えてくれた。その大展望の景色に思わず目に涙を浮べ、しばらく魅せられていた。
その後も雲は多いものの澄んだ空気だけに展望は最高で、自然と足取りは軽く、先ほどまでの重さが嘘のようであり、荷物までもが軽くすら感じるほどであった。雲海を見下ろしながらトムラウシを越え、下りへと入ると景色は一変、足場の悪い岩塊地帯へと入るが、それは苦痛ではなく逆にその変化が面白い。沼や巨岩も点在する中を気持ちよく抜けていく。ここまでくると行き交う登山者も徐々に増え始め、今日の合言葉のように共に、「今日はほんといい天気になりましたね!昨日が嘘のよう!」と交わすのだが、普通に交わす言葉が嬉しく、何度交わしても新鮮に感じるほどであった。
山頂にただ1つドカンと座る巨岩がシンボル的山、化雲岳。ここまで来ると最終目標、旭岳はもう目前のようにさえ思えるほど目の前に聳えていた。あと少しだ。常に先を見つめながら、五色岳、忠別岳と越えていくのだが、この道中がなかなかの難路。危険と言うわけではないのだが、生い茂るハイマツに行く手を常に阻まれ、時にトンネル状に、時には手でかき分けて進む。そんな道が数キロ続くのだから、もう嫌にもなってくるのだが、でも、それくらいの気持ちは全てこの展望が洗い流してくれ、そんな辛い道も楽しくさえ感じるほどであった。
今日最後のピークとなる忠別岳を越えると、またまた景色は一変する。お次はお花畑広がるなだらかな台地と変わるのだが、こんな変化が縦走の醍醐味であり、また、楽しさのひとつだろう。高山植物の女王とも別名呼ばれているコマクサが無数に咲き乱れ、登山道と言えどもよほど足元に注意して歩かねば踏みつけかねないほど辺りはコマクサのピンク色に埋め尽くされていた。
ちなみに今朝、出発が雨の為に遅れた為に、目的の白雲岳キャンプ地まで到達できるかやや心配であったが、実際歩いてみるとガイドコースタイムはかなりあまく、意外に余裕を持って15時40分、無事にキャンプ地へと入ることができた。いつの間にか、また辺りは霧に包まれだしたものの、今日のこの昼間の天気でもう大満足♪到着後ののんびりした時間は避難小屋の管理人さんと雑談したり、また、時折覗く雲の隙間からの日差しを楽しんだりと夕方まで過ごし、そして自炊後ともなると、やや疲れが出だしたのか、すぐに睡魔に襲われ20時前には眠りについていた。
★今日のお食事♪
・朝食 : ごはん&レトルト丼
・昼食 : チョコ・菓子・カロリーメイト
・夕食 :
ごはん&レトルトカレー