いよいよ函館を出発して、この北海道の大地を走る。広大に広がるこの大地だけに距離的な不安もあるが、でももちろん期待のほうが大きい。そして初めてと言っていいくらいの、1日漕ぐということが出来そうでもあり、そんな走行を楽しみにもしている。まず、今日この日も主な観光は松前のみで他は走ることのみに没頭することになりそうだ。果たしてどこまで走れるか、どこまで体力がもつか、なんだかワクワクする今朝であった。ちなみに予定では福島までにしようと思っていたのだが、できるだけ、距離を延ばしてみよう!そんな気持ちで溢れていた。
そんな今朝であったが、ただ悩まされることも多い。まずは天気だ。7時頃起きた時には雨も上がってくれていたのだが、出発準備をしていると、ポツポツ・・・っと、「えっ?!」、と思った時にはザーと音を立てて降り始めた。もう、すぐに逃げたかったが、でも大雨に打たれながらも、雨合羽を自転車に掛ける。「なんじゃこりゃ・・・」、やや呆然としながら雨を眺めて、天気予報とのギャップに憤りを感じていた。午前10%、午後0%・・・ そんな予報であったのだが、結局、出発した8時半頃までに雨はやむことなく雨降る中へと漕ぎ始めることになってしまった。そしてもうひとつ不安が、それは今朝からなんとなく喉が痛く、さらには鼻水が出る。風邪か?と思いながらも今は「気をつけよう。」と思うしかなく気分的には元気に今日も出発して行った。
「プップー!!」、驚きに身体が”ビクッ”っとなるほどの音が響き渡った。そして対向してきた大型トラックが止まる。ヨッシーさんだ!今日、仕事がこちら方面ということでたぶん会えるだろうと話していたのだが、ども、こうして再会できると分かっていたとは言え嬉しく、また心臓がドキドキするほど驚きもした。毎日あれだけ夜遅くまで話しているのに、やっぱり話は尽きない。またいろんなこの先の情報を教えてもらったりもし、約30分ほどここでのんびりし、また改めて別れを告げ出発した 。次の再会は函館へ帰ってくるときだろうか・・・ でも、そのときが楽しみで、またこうして走る楽しみがひとつ増えた。
木古内町辺りまで来ると雨はすっかり上がり逆に青空まで覗き始めた。だが、その覗く日は強くムンムンとした陽気を誘ったが、でも普通ならこの蒸し暑さが不快感を誘うのだが、今日は違っていた。やっぱり青空がいい♪「あつい!」と言いながらも、顔は常に不快感を見せず、逆に清々しく笑みさえこぼれた。日差しが眩しい!濡れた木々が日差しによって光り輝き、強い光が照り返してくるアスファルトでさえ、それが心地よく感じた。何もかもが気持ちよく快適と言う言葉以外にない。ただ、教えてもらった展望台方面は未だに深い霧に覆われていたため、上がることは出来なかった。
このままどんどん雲が晴れ、最南端の白神岬に着いた頃にはもしかして快晴に?!そして竜飛が?!そんな期待いっぱいで漕ぎ進んでいったのだが、でも実際はまた嘘のように重い雲が立ち込め、時には小雨さえ降らすほどであった。さらに知内町を抜けた辺りから向かい風にも苦しめられた。突風と言うほどではないが、でもバタバタと旗がなびくほどの風が常に吹き、これには大いに苦しめらた。平坦なのにまるで坂に立ち向かっているようで、思い通りに進めず、それでも進みたい、そんな矛盾がどんどん体力を奪っていった。
ヒッコラ、ヒッコラ・・・ と漕ぎ進みなんとか北海道は最南端の地へと到着した。そこでようやく大休止!さすが岬とあって風が吹き荒れ肌寒くはあったが、でも、こうした地で食べる食事は最高!♪さらにはヨッシーさんお手製だからなおさらだ!!ここまでの苦労が報われのたのだが、でも、この先はさすがにもうあの風は勘弁してれ~ と空に向って叫びたい気分であったが、でも現実は相変わらずの向かい風・・・
一時、霧まで立ちこめる滅入ってしまいそう辛い天候であったが、松前市街へと入ったそのとき、「おーい、新聞に載ってた方だよね!」と声がどこからともなく聞こえた。「そして家族も呼んでくるから!」と、そんなおじさんを交えてみんなで記念撮影。ありがとうございました。こうしてちょこっと町の方とふれあい、そして元気を取り戻し、松前観光へと徒歩で散策に出かけた。ちなみにこの白神岬周辺から竜飛崎はもちろん、澄んだ日は洗濯物まで確認できるという。それほど近いのだ。さらには遠く岩木山までも望めるという。ただ今日はその展望はかった。
さて、松前観光、まずは町のシンボル的存在のお城へと入ってみた。幾つかの城門が復元され、観光意欲を高めたが、でも肝心の天守閣観光がガッカリ・・・ 城自体は昭和の再建と鉄筋コンクリート製で外観意外は見所はない。そして最北の藩城ということで、その歴史展示に興味を抱いていたのだが、古文書や武具が並ぶばかりで面白くない。それどころか歴史すら全く分からなかった。城のハンフを見ても何も書かれていない。「これはないだろう・・・」とちょっと失望しながらあっという間に見学を終えてしまった。このあと観光案内所で頂いた総合案内パンフレットでようやくその城、町の歴史を知ることが出来たのだが、それにしても城に入って全くその城の歴史が分からないとは変な話だ。
城には失望してしまったが、このあと、寺町、松前藩屋敷とこちらの観光は意外に面白い。道内唯一のこの城下町は函館戦争でほとんどその姿を失われたそうだが、でも今も残る寺町の情緒、さらには、復元された屋敷の数々。復元家屋は一箇所にすべて集められているだけにその見応えは充分であり、そしてまた面白い演出で迎えてくれた。まず入ると籠が迎えてくれ、そしてこわーいお代官(人形)に睨み付けられ、そして旅籠では旅人とふれあい(人形)、そして漁師さん達からはなんとお酒までご馳走になった(人形)。こうして各所で写真を撮りながら見学、そして最後の煎餅店では驚くほど精巧な造りの人形だ?!と思ったらこんどは本物であった!でも、ここでも記念撮影。またおなかなか美味しいこの焼きたて煎餅を購入して、藩屋敷街を後にした。
さあ、こうして松前の楽しい観光を終えたのだが、見所が意外の多く、予想外に時間がかかってしまったが、でも、まだまだ距離を稼いでいく。この松前市街を抜けると進路は徐々に北へと向き始める。それと共に今まで悩まされ続けた風はほぼ無風となり漕ぎやすくなり始めたのだが、でも更なる試練が待ち構えていた。それは50km近く続く長い長いアップダウンの道・・・ 平らなところはないのでは?!と思うほどで、疲れが出始めた身体をなお苦しめた。さらに試練は続く。今度は雨だ。最初のうちは霧雨ですんでいたのだが、徐々に小雨、時には本降りと変わり、結局最後はまたカッパを着込むことに・・・ これほど気分的に辛い道は過去少ないのではないだろうか、これが天気が良ければきっとこんなに滅入ることもなかっただろう。なにせ、アップダウンしながら走っているので、時には海を見下ろし、また海岸美を眺め、また時には海や海岸と共に走る快走路となるだろうが、でも今は全てがこの雨雲で沈んでしまい、その美しさは想像するしかなかった。
雨、坂に向い黙々と走り続けるしかない。日も徐々に落ち、焦らすが、でも寝床も見つからずやっぱり黙々と進むしかなかtった。ただ、寝床の目星は付いている。この先の道の駅だが、でもそこまではまだ相当の距離があり、苦しめられるが、そんなとき、通り過ぎてゆくライダーや車からの応援がなによりも力となり、そしてもう19時近くなろうとしたとき、ようやく道の駅・もんじゅへと到着した。
さすがにもうヘトヘト・・・ さっそく食事と行きたかったが、疲れとこの霧雨でさすがに自炊する気にはなれず、この道の駅のレストランで済まそうと思ったのだが、「ただいま貸し切り中・・・」、との文字が、どうやら団体客が入っているようだ。あまりのショックに肩を落とし、仕方なく自炊しようと寝床を物色するが軒下もなにもない道の駅だけに、結局最後はちょっと離れた小さなバス停小屋内に寝床を求め、自炊に入ろうとしたとき、先ほど走行中に声を掛けてくれたダスキンのおじさんがまた来てくれた。それもなんと差し入れのお寿司を持っての登場でこれにはさすがに驚き、そして嬉しかった。さらに出会いは続く。一昨日にヨッシーさんにお世話になっているときに来てくれた高田さんが今日はなんと手作り弁当を持ってやってきてくれたのだ。気持ちが滅入っていただけにその喜びは大きなもので、1時間ほど楽しい雑談を交わし、夕時を楽しんだ。ほんとうにありがとうございました。
こうして最後には食に困ることなく、美味しいお寿司やおにぎりを頂いて、そして風邪気味とあってやや早い就寝へと向うことにした。ただ、先ほど飲んだコーヒーのせいかなかなか寝付けずに結局、眠り込んだのはかなり遅い時間となってしまった。明日には風邪が直っていてくれればいいが、それにしても喉が痛い・・・
※4日間もお世話になったヨッシーさん、ほんとうにありがとうございました。ちなみに今日、ヨッシーさんは禁煙宣言しました!私から刺激を受け決心してくれたそうです。嬉しいです。お互い頑張りましょう!!
★今日のお食事♪
・朝食 : パン
・昼食 : おにぎり×2・菓子
・夕食 :
豪華なお寿司・ラーメン