昨夜から出てきた風がテントをギシギシと音を立ててしならせる。雨を避けての東屋の下の設営の為にペグも打てなく、テントが壊れるのではと心配しながらの就寝であったが、しかし、疲れが酷いせいか、それとも風邪気味のせいだろうか、朝までグッスリと寝入っていた。そして「冷た!」という感触で朝方飛び起きた!それはこの東屋の下まで昨夜から降り続く雨が流れ込み、テント下より雨が進入してきていたのだ。そのため、寝ているマット上から一歩外れれば身はビッショリ・・・ 大した浸水ではないが、それでもそれほど対策せず寝てしまった為に地図なども濡らしてしまい、後片付けに戸惑う朝の慌しい時間が流れ始めた。
今朝も昨夜買ったコンビニ弁当で簡単に朝食を済ませ溜まったHPの更新作業に朝4時からせいを出す。そしてとうとう今日で溜まった分を全てやり終え、その後、出発まで、テントなど干し乾くのを待ちながら読書など楽しんだりと自分の時間を楽しみ、そして8時頃、昨夜の雨が嘘のように晴れ渡った空を眺めながら自転車を漕ぎ始めた。
風が・・・ 昨夜から妙に温かいと思っていたのだが、それもそのはず暖かな南風が吹き荒れ大地を覆っていたのだが、しかし、その南へと海沿いに今日は漕ぎ進むためにもう最初から難渋した。坂を漕ぎ上がっているかのように必死でひたすら漕いでも到底いつものスピードは出ず、酷いときは半分のスピードである。あまりのその風に今日の南下はもう諦めようかと何度も思ったほどだが、それでも、進みたい、ジッとのんびりしている時間はない、そう自分に言い聞かせて南下していくが、そんな気持ちに反し、天気まで一変し、先ほどの快晴が嘘の様に暗雲が立ち込め、強風と共に雨を降らせた。一時そのために軒下へと避難したほどだ。「これで今日中に最南端は野島埼へと到達できるだろうか・・・」、そう不安を呟きながら・・・
御宿町まで漕ぎ進めたときこの砂浜が気になって休憩を兼ねて行って見た。”月の砂漠”として有名らしいが、その月の砂漠が何なのかよく私には分からない。小さな平野部の小さな町であるが、それでも巨大な観光ホテルが浜沿いに立ち並び、案内板には「避暑地は山なら軽井沢、海なら御宿」そう書かれ、この暖かい房総が避暑地になっているということに驚きながらも、しかし、この風が心地よいのだろうとも思いながら、浜へと歩き出るが、ただあまりの風のために砂が舞い上がり体中に突き当てていく風でしかない。そんな砂浜のほぼ中央に2つのブロンズ像が並んでいた。王子、姫といったいかにも高貴風な方がそれぞれラクダにまたがっている像なのだが、この砂浜、さらに風の中だけに、それが実際の砂漠の中の様に見え、そして魅せられ、強風の中とはいえ、しばらくそのブロンズ像を眺めて異国の風情を楽しんだ。
この浜沿いに”月の沙漠記念館”というものが建てられている。どんなところだろうとは気にはなったが、しかし有料な為に今回は諦めるとこにしていたのだが、浜から戻ったとき知り合った関さんに誘われ入館できることになった。先ほど車道で私が関さんの自転車を追い越した時、私の自転車を見て声を掛けてくれたそうだが、あまりの風に流され、私にはまったく聞こえず出会いを逃していたのだが、しかし、関さんはこの記念館の関係者らしく、私の自転車を改めて見つけてそこで待っていてくれたのだ。そんな出会いから始まった会話。中山道を歩いたりするほど歴史散策が好きな関さんだけに趣味が会い話はどんどん盛り上がっていく。そして、そんな関さんに誘われて、この月の沙漠記念館へと招待してくれたのだ。館内には「月の沙漠」を発表した”加藤まさを”の多数の資料をはじめ、企画展ではラクダに乗った王子と姫がその後どこへいったのか、それを題した夢ある絵画展が行われ、多彩な想像力に魅了されながら見学させてもらった。ありがとうございました。
自転車を漕ぎ出せばまた風との戦いであった。ただ、そんな苦しさを和ませてくれたのは車からの応援の声で、ある時はわざわざ車を止めて声を掛けてくれた方もあり、そんな励ましに元気をもらってスピードこそ出ないが、一歩一歩着実に前へと漕ぎ進んでいった。そして今日のもうひとつの励ましが目の前に常に広がる海だ!今朝まで降り続いた雨のお陰か空気は澄み地平線まで海は見事に広がりを見せてくれていた。そのあまりの美しさにカメラを何度も手にするが、しかし、今持っている緊急用のデジカメ、液晶画面はなく、また明暗補正もない。さらにはピント合わせもなく、機能は使い捨てカメラ同様であり、撮影をするといった楽しみはまったく出来ない。カメラが好きなだけに苦痛でしかなく、また、撮影後、このPCにて始めてその画像をみることになるのだが、心配したとおり、いつも感度の悪さ、色の悪さにがっかりさせられる。持っているもう一つのカメラ、一眼レフで撮影しても、その画像を見れるのは帰宅後で、これもまた面白さがない。見事な景色が広がるだけに寂しさ空しさも込み上げる走行であった。
風と終始戦いながら自転車を漕ぎ進める。房総半島の岬へと近づきだすと道は徐々に西へと向き始めるが、しかし風もそれに沿って南から西風へと変わり相変わらず自分を苦しめ続けた。10kmも出ないスピード・・・ 坂などはもう止まってしまいそうになるが、しかし、それでも立ち漕ぎで踏ん張り乗り越え、そして、予定よりもだいぶ遅くなってしまったが15時半。無事に野島埼へと哲さんと共に到着した。そこでようやく一息。また頂いたみかんを頬張りながら岬の散策。風は変わらず吹き荒れるが、しかし、それがこの房総半島、さらには岬には合っているかの様に感じ、登った灯台上では、その風を全身で感じながら風で荒れる海を、そして走ってきた道のりをしばらく見つめ、その南端へ到達した喜びを全身でしばらく味わった。
日暮れが押し迫っている。こんな風の岬ではとても野宿は困難であり、また当初の予定である道の駅・富浦までは出来れば行きたく、この後はまたみかんを頬張りながら急ぎ自転車にまたがり出発した。本当ならこのまま国道沿いを西へと進み出てから富浦を目指したいところなのだが、もうこの風には完全に参り、また嫌って、このまま真北へと最短ルートで富浦へと向かう峠越えのルートへと変更した。どちらのほうが吉とでるかは分からなく、不安ではあったが、強風とはもう向き合いたくなく真北へと向かい始めたのだが、それと同時に風は驚くほど静まり、急に漕ぎ足が速くなる。そして何より漕いだ分だけ進むという当たり前のことが、嬉しくて溜まらず、この先で立ちはだかる坂も、その嬉しさに誘われて、疲れも忘れ一気に登りきってしまうほど嬉しくてたまらなかった。この後、日こそ暮れてしまったが、無事に17時半、道の駅・富浦へと入り、そして哲さんの車に揺られ隣町は館山にあるお勧め回転寿司・やまとへと連れて行ってくれた。頬がとろける様な味を堪能しながら、趣味が共通するだけに哲さんとの会話に盛り上がる。山、旅、歴史もすきなのだから、話に尽きないのだが、逆に話したいことがあり過ぎて何を話したらいいのか戸惑うほどであった。そんな楽しい夕食の時を過ごし、また送ってもらった道の駅で19時過ぎにまたを再開を約束しお別れした。ありがとうございました。さて、この後はHPの更新。しかし、風邪のせいか集中できず、また寝るにもなぜか寝れずに、時ばかりが過ぎ寝入ったのは23時頃になってしまった。
★今日のお食事♪
・朝食 : ミニコンビニ弁当
・昼食 : パン×2・みかん
・夕食 :
豪華回転寿司♪・みかん