車輪人の自転車日本一周・登山の旅 車輪人の自転車日本一周・登山の旅

2003年 6月17日 (火) - 345日目

天気 : 濃霧&雨

体調 : 良好

宿泊地 : 道の駅・象潟

本日の移動 : 遊佐町~鳥海山登山~象潟町

走行距離 : 27.8km

累計距離 : 15,009km
本日の出費

食費 : 0円

観光費 : 0円

宿泊費 : 0円

雑費 : 0円

費用詳細 :

現在地 : 秋田県象潟町  ( 全走行図 )

お出迎え

 突然の雨音で目が覚めた。まだ真っ暗な午前3時・・・ 眠い目を擦りながらも慌てて濃霧に包まれた真っ白な雨降る世界に飛び出して、野ざらしの自転車をトイレの中へと押し込んだ。まさか雨が降ろうとは・・・ 明日の登山は大丈夫か、不安を胸に、その雨音聞きながらまた眠りについた。

早朝・昨日よりも展望良♪
 4時半に起床。先ほどの雨は1時間ほどで上がってくれ、今は薄っすらと雲が広がっているものの青空も所々に覗き、先ほどと比べれば嘘のようであった。そんな空に誘われて、夜の重いあの気持ちはどこへやら、足取りは軽く、さっそく自炊、そして日記の更新と気持ちよく準備に入った。ただ、ちょっとしたアクシデント発生!あまりの足取りの軽さからか、なんと飯ごうを倒してしまい、煮詰まった中途半端なお米はテントの中へ飛散、そして水浸し・・・(T_T) 水害は思いのほかひどく、自転車に濡れ物を数点干しながらの出発となってしまった。またその処理に終われ、日記の方はほとんど書くことができなかった。

 標高1150mの地へ残り150m、昨夜残した残りの標高を必死で漕ぎあがっていき、そして県境を越えようとした頃、ここで秋田からなんとお出迎えの車が♪!それは”オンタ”さん、この鳥海山を一緒のぼろうと駆けつけてくれたの!そんな県境のお出迎えに、こころウキウキしながら最後の坂を越えて登山口”鉾立”へ入った。

 出発準備を整え、7時半、2人といういつもと違う楽しい会話のもとに登山は始まった。やや雲は沸き立ちつつあるものの、登山口付近からは山頂を望め、この後のさらなる回復を祈りながら、型を並べ会話に花咲かせながら、整備された階段を一歩一歩登って行った。最初の大きな中継地”御浜小屋”まではそれほど急な登りもなく、ほんとうなら石畳が並んだ緩やかな階段が続くのだが、半分も進む前から今回も雪渓に覆われ始めた。そして前回の月山同様にあっという間に霧の中へと入る。ただ、ここでは一定間隔にポールが立てられて分かりやすかったが、それでも途中からそのポールすらも見つからず、最後は正規のルートを外、稜線から御浜小屋へ入るという今回も苦しめられる山行がこうして始まった。とは行っても気持ち的には雲泥の差。2人というのは精神的に苦しめられることがなく、また冷静に対処できる。また月山(湯殿コース)とは違いこちらは基本的に稜線を歩む道の為に迷いにくいということもあった。ルートから外れはしても常に自分の居場所を地図上で確認しやすく、最後は霧の中ではあるがさらに白く輝くハクサンイチゲの見事なまでのお花畑を越え、さらにはその中でまるで黄色く光るようにして咲く、今年初のお目見えとなったニッコウキスゲを何本か眺め心和ませられながら小屋へと入った。

駆けつけてくれた
オンタさんと♪
絶壁と御滝
雲がもくもく・・・

 ちなみに登山口には数台の車がとまっていた。私たち意外にも何グループか登山している方がいるようであったが、写真目的で登頂しない方、またすでに下山へと向っていた数グループとすでにすれ違い、この先はもう誰も居ないのでは?そんな不安を小屋休憩しながら2人抱いていたのだが、このあと嘘のようにぞろぞろと団体が入ってきた。それもなんと高校生である。男女2、30人は居ただろう。もちろん引率の先生方も一緒であるが、それにしてもこの悪天の、さらにはこの残雪の豊富な時期での登山。山岳部の人も混じっているとはいえ、ほとんどが普通の生徒のようであった。もちろん服装は学校のジャージである。話を聞くと、今月の25日全校登山があるという。その下見で各クラスの代表者が登っているのだという。その数50人以上!下見だけでも凄い!だが、この濃霧と残雪、さらには雨までこのとき降り出し、私たち、そして学生共々この先の山行をなお苦しめた。

 そんな学生より一足先に小屋を出発。すでに叩きつけるような雨がバタバタとカッパに打ち付けている悪天であった。それでも、負けることなく登山道をしばらく進み、そしてまたも巨大な雪渓に阻まれる。あたりは変わらぬ濃霧の為に、とりあえず見える藪沿いへとルートをとってみたのが失敗・・・・ 大きく下りすぎてしまった。だが、トレース後も残っているようにも見え、さらには地図上で居場所だけはハークしていた為に臆することなく、対面の稜線目指して登る。ただ、この時に学生先発の2人組(登山部)が私たちのトレースを見て、滑るようにして同じくこの谷へと下ってきて、この先のルートの不安、そして後続を待つためにここで待つということで、またオンタさんと2人、霧の中へと登っていった。このあと、このことを心配し、胸を痛めることになるのだが・・・

 この稜線までがひたすら雪渓の急登で苦しめられた。30分は格闘しただろう。ようやくたどり着いた稜線でもルートを探す始末であったが、それでも無事に見つけて”七五三掛”という分岐に到着した。ここから稜線のコース”外輪山”と谷間を通る千蛇谷コースと、2手に分かれるのだが、最初は安全を考えて学生達も歩むという設計コースを選ぼうと谷へ下ったが、あまりの濃霧の為にはっきりしたコースを見つけることができず断念し、雪のない外輪山コースへと戻ることにした。

 文珠岳までの登りがなかなかつらい。さきほどの雪渓で体力を大きく消耗しているのも大きい。やや膝を痛め始めていたオンタさんはここで残念ながら断念することになった。先ほどの御浜小屋へと戻りそこで落ち合う約束をし、このあとはひとり山頂目指して歩むことになった。

 稜線沿いは物凄い風雨であった。大粒の雨は真横に降る有様であり、そして濃霧、コンディションは最悪であったが、幸いこの稜線沿いには雪はなく道に迷うことはなかった。ただこの悪天のためか浮石が多く、慎重な足取りは変わらず緊迫した登山はなお続いた。稜線だけに天気が良ければ最高の展望が迎えてくれるあろうな・・・ そう悔しがりながらも、いまだ霧が晴れること祈りながら、進んでいく。時折、激しい雨が止み、一瞬ではあるものの薄い雲を挟んで日差しが指し、「おっ!雲が晴れるか?!」と期待させてはくれるものの、それ以上に回復することなく、またすぐに風雨が襲ってくる。その繰り返しであった。

 稜線から直に山頂を目指すコースもあるのだが、”落石危険”という看板にこの天気もあって臆し、七高山方面を経由して山頂を目指すことにした。最後はいった稜線から急なガレ場を下り雪渓へ、ここが山頂直下のはずであるが、その山頂は見えず、また目の前にあるはずの山小屋も見えない。目の前に広がるのは霧に包まれた一面の雪渓だけであった。「さあ、どっちへ進もうか?」、迷っていると突然、数百メートルの視界が利くほどに濃霧がはれ山小屋を発見!だが、数秒でまた濃霧に包まれる有様であったが、それでも方角だけは確認でき、その方向へと雪渓を越えていった。そして途中、山頂へという看板を見つけて、そして急登を登って行き、幾つかの小さなガレ場のピークが立ち並ぶ山頂付近を分け入って、なんとか12時半に無事登頂することが出来た。予想通りの誰も居ない、そして何も見えない山頂であったが、その喜びは他の山よりも大きなものであった。

 ただ、あまりの打ち付ける風雨、そして時折晴れはするようにはなったが、続く濃霧の為に早々に撮影後下山へと向った。また、これだけの道の為に、オンタさんの心配する顔が頭に浮び、出来るだけ早く帰りたいというのもあった。そしてあの高校生たち2人、多分、ルートを間違えて下りすぎてしまった場所だろうだけに、あの後、どうしたのか?また心配でもあった。

やったぜ山頂!
すごい霧~
ゴツゴした山頂付近
寒い~
一瞬の雲の切れ目に・・・
さあ、下りも頑張るぞ!

 ほんとうなら帰路は雪渓から下っていったほうが楽であるのだが、あまりの視界不良のために同経路で帰路につくことにした。やはり高校生達は途中で引き返したようで、変わらず風雨だけが鳴き続ける道が続いた。だが、帰りはルート的不安はなく、またコース散策の必要もなく、トントン拍子で、例の谷間まで下ってしまった雪渓付近へと到着した。あれはあまりにも下りすぎだろう。さらには方向的にもおかしい。そう思い、ここでは帰路のルートを散策してみると、やはり正規のルートを発見!だが、その嬉しさよりもあそこまで下らせてしまった高校生たちと、その後、無事に復帰できたか?という不安が立ちこめ、やや早足でまた雪渓を越え小屋へと急いだ。

 まだ居るだろうか、それとも断念した高校生達でごった返しているだろうか、小屋へと扉を開くと、そこには最高の笑顔で「お疲れ!」とオンタさんが迎えてくれた。その笑顔が今も印象的で、そして濃霧さらには雨、そして不安という悪条件での中での緊迫した私を気持ちを一気に洗い流してくれたのだ。自然に自分も笑顔が溢れる。そしてその笑顔から高校生達が無事に帰ったことを悟った。話を聞くと、オンタさんは帰路、同様の急な雪渓を戻ったそうだが、すでにその時には学生の姿はなく、また激登を這い上がっていった2人のトレースのみが残されていたそうだ。それを聞いて一安心し、具たくさんの豪華ラーメンをオンタさんからご馳走になりながら、ここで1時間ほど山でののんびりとした時間を過ごし、そしてようやく落ち着くことが出来た。

御浜小屋で休憩♪
豪華ラーメン♪

 最後の下山もやっぱり風雨に何度か打ち付けられながらであり、そしてルートも探しながらではあったが、それでも濃霧を乗り越えて、16時ごろ無事に鉾立へと下山した。そしてそこで出迎えてくれたのが、自転車を見て、心配してくれていた鉾立山荘の方であり、誘われて中で暖をとりながらの、もう思い出話へと変わった今日の山行のついての話で盛り上がり、また美しい晴れたときの鳥海山の写真をいろいろ見せていただき、今日ルートと照らし合わせ、空想の世界で雲海散歩を楽しんだ。ありがとうございました。

やっぱり霧の中・・・
真っ白でーす
鉾立山荘にて

 こうして秋田へとはいり、風雨・濃霧と散々な出迎えもあったが、でもまたたくさんの方々にも迎えられスタートした。またこの先に期待しながら、一気の1150mのこと高地から坂を駆け下りていった。振り返ると嘘のように雲が晴れ始めていた鳥海山を望め、悔しい思いいっぱいであったが、でも、また違った姿を見せてくれた事に感謝し、今日の寝床予定地、道の駅・象潟へ向けて気持ちよく下っていった。

 なんと、このあと道の駅ではもうひとつの出会いが待っていた。登山後に自転車に挟げてあった置手紙で知ったのだが、日本を車そして時には自転車をつかい旅している”もー”さん、一時、京都ではニアミスしてしまい会えなかったが、再度今日、近くにいると言うことで着てくれたのだ。そして道の駅で待っていてくれ迎えてくれた。だが、こうした出会いと共に分かれもある。寂しさで胸が詰まる思いであるが、でも、これが出会いだったと思い、寂しさを堪えて硬い握手を壊しオンタさんを見送った。ありがとうございました。

鳥海山を振り返る
道の駅にて宴会♪
左:もーさん・中:遠藤さん
今朝の山形新聞

 このあと”もー”さんと一緒に道の駅に併設されている温泉に入浴してスッキリ♪そして夜は宴会♪オンタさんの差し入れもあり、豪華な宴会を、さらに長期旅行中の遠藤さんも加えて旅話で大いに盛り上がり、話尽きることなく22時ごろまで語り合った。そのあとはいつもの日課が待っていた。酔っ払う自分を奮い立たせて、日記の更新へと立ち向かうが、どんなに頑張っても機械的な作業までの写真のUPまでしか出来ず、そのまま日記をのこして23時半頃に就寝した。ちなみに寝床嬉しいことに24時間開放されている休憩所の中で、なんと畳敷きの間まであるから嬉しい。やや明るいのが気になるものの、気持ちよく眠りに入ることができた。

 ★今日のお食事♪
 ・朝食 : ごはん&レトルト丼
 ・昼食 : パン・おにぎり・菓子・豪華ラーメン
 ・夕食 : おにぎり・刺身・チキンなど




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